A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (899)
フェアリーダンス
「現世にあまねく妖精達の父よ。四元に宿りし、その息吹私にお貸しください。フェアリークイーンティターニアの名において願います。精霊王の力をここに! 『フェアリーダンス』」
ティターニアがスキルを発動すると頭上から4色の光が降り注ぎドラグナーを照らす。
「いきます」
え?
「ドウゥン」
ええっ!?
ティターニアがベルリアに向けドラグナーを放った。
普段の黄色の光とは違う、4色の光を纏った弾丸が超高速でベルリアへと一直線に飛びその胸を貫く。
ベルリアもそのスピードに反応を見せる事はなかった。
「ティターニア!? ベルリア!!」
「くっ……不覚」
4色光を纏った弾丸に貫かれたベルリアは、完全に動きを止めそのまま前のめりに崩れ落ちた。
本当にしとめた!?
ベルリアとの思い出が走馬灯の様に脳裏に浮かぶ。
いや!?
嘘だろ?
本当に撃った。
なんで?
いや、ベルリアは操られて敵対していた。だからティターニアが撃ったのは間違いじゃない。
だけど、ベルリアだぞ?
ベルリアが死んだ?
消えてないから死んではないのか?
そもそもサーバントが死んだらどうなるんだ?
ティターニア、任せろって言ってたけど……。
これならベルリアが襲ってくる事はないだろうけど……。
衝撃的な光景に頭が働かない。
フェアリーダンス?
効果はなんだった?
攻撃スキルだったか?
状況がうまく理解できない。
「ご主人様、今は目の前の敵に集中を!」
「あぁ、わかってる。わかってる」
ベルリアが倒れた今敵はボススライム一体のみ。
ボススライムを倒さなきゃこの先へは進めない。
ベルリア達に気を取られてはいたとはいえ、この身に染みついた動きは滞ることなく実行されていて、殺虫剤ブレスはボススライムを捉え続けている。
ブレスを浴びた部分から変色が見られ、確実にダメージを与えているのがわかる。
右手に持つ殺虫剤スプレーが空になると同時にすぐさま新しいものに換装してブレスを続ける。
殺虫剤スプレーのストックは十分にあるので、このままブレスを切らさなければ押し切れるはずだ。
トリガーに力を込めボススライムを見据えるが、ボススライムが先程のティターニアの様にカラフルに明滅し始めた。
これで終わりか?
次の瞬間、ボススライムが膨らんで弾けた。
「ポヨヨヨ〜ン」
ふざけた音を伴ってボススライムがあたり一面に飛び散ったと思ったら、飛び散った液体がそのまま形を成し色とりどりの小さなスライムが現れた。
通常のスライムよりも更に小さいサイズだが、その色には覚えがある。
「シル『鉄壁の乙女』だ! ティターニアはベルリアを!」