A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (900)
バーニングスライム
シルが『鉄壁の乙女』を発動し、あいりさんが光のサークル内に駆け込んだ直後、スライム達が一斉に襲いかかってきた。
正確には、スライムそれぞれが俺達に向けスキルを発動してきた。
マグマや氷が光のサークルを覆っていく。紫色の霧も漂っているのが見える。
一撃の威力こそ減少しているように見えるけど、数が多い。
いや、多すぎる。
ティターニアにベルリアをまかせたけど、いつスライム達の意識がそちらへと移るかもしれない。
その前に、ベルリアも光のサークル内へと運ばないとまずい。
それに、マグマや氷のせいでティターニアとベルリアがどうなっているのかよく見えないので状況判断ができない。
だけどちょっと待てよ。
ベルリアが死んでないとすれば、光のサークル内へと運んで大丈夫なのか?
スライムを相手取りながら背後からベルリアに襲われたら詰んでしまう。
とにかく数を減らすのが先決だ。
「ルシェ、最大火力で焼き払え!」
「ふふん、まかせとけって。スライム如きいくら数を揃えてもわたしの敵じゃないぞ」
とにかく数を減らさなきゃ、身動きができない。
「燃えてなくなれ! 『炎撃の流星陣』」
ルシェがスキルを発動するとダンジョンの上部が熱を持ち始める。
赤々とした炎が上部を埋め尽くし、スライムに向け降り注ぐ。
「ズドドドドド〜ン」
光のサークルの中にまで熱が伝わってくる。
スライム達が、高速で移動して回避しようとするが、炎が間髪を入れずに襲いかかり次々と命中していく。
炎が命中したスライムはその動きを止め続け様に当たった炎に焼かれていく。
「ちょろちょろ逃げるんじゃない。逃げても無駄だ『炎撃の流星陣』」
ルシェがスキルを連続発動すると、上空が真紅に燃え更なる炎の雨がスライムへと降り注ぐ。
「ズドドドドドド〜ン」
眼前の青色のメタルスライムが炎を浴びその身を蒸発させ消滅する。
流石はMP30以上を消費するルシェの最大火力。
『破滅の獄炎』では焼き切れなかったメタルモンスターを次々に消滅させていく。
「これで終わりだぞ。さっさと地獄へ堕ちろ。いやスライムなんか地獄でもいらないか。わたしの前に姿を現したことを死んで後悔しろ。『炎撃の流星陣』」
いや、たしかに焼き払えとは言ったけど、まさかの『炎撃の流星陣』3連発!
「ズドドドドドドドド〜ン」
炎で上空は眩しく照らされ、前方は文字通り焼き尽くされ、炎の海が広がっていく。
「ルシェ、やりすぎ」
「なんだ? 海斗なんか言ったか?」
「いや、いいんだ」