A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (901)
ニューウェポン
降り注ぐ炎が徐々に収まってきて周囲の状況がハッキリと確認できるようになってきた。
『炎撃の流星陣』の威力は絶大。
それもMP残量無視の三連発。
炎耐性が高いであろうボススライムが分化した小型スライム達も一部を除いて焼けて消失していた。
一部を除いて。
「シル、あれってどう思う?」
「おそらく、ルシェの炎を吸収したのではないでしょうか?」
「そう思う?」
「はい。おそらくあれは火属性のスライムです。相性の問題だと思われます」
目の前にはおよそ十匹のオレンジ系のスライムが残っていた。
他のスライムは消え去っているので、かなりの数を消滅させたのは間違いない。
ただ、問題がひとつ。
残ったスライムの大きさが、当初と異なっている。
明らかに大きくなっている。
大きくなっているというレベルではなく、ボススライムの半分くらいの大きさだ。
「わたしがやってみるのです。『アイスサークル』」
スライムの一匹を氷の柱が包み込むが、大量の湯気をあげ急激に氷が溶けていく。
「無理っぽいのです」
当然のように大きくなった事により熱量が増している。
「ルシェ、あれ」
「な、なんだ。わたしはなんにも悪くないぞ。アイツら以外は全部やっつけてやったんだからな」
「それはわかってるけど、三連発はやりすぎだって。あんなに大きくなったのって絶対そのせいだろ」
「やりすぎじゃない!」
やりすぎかそうじゃなかったかを言い争ってる場合じゃない。
それより目の前にいる十匹のスライムを倒さなきゃならない。
どうやって倒すかが問題だ。
ルシェの獄炎は逆効果になってしまう可能性もあるのでダメだ。
「あいりさん、やりましょう。ミクとヒカリンは足留めを。シルはルシールを喚んだら鉄壁の乙女でメンバーを護ってくれ」
スナッチとティターニアが戦力になりそうにないのでルシールを喚んでもらい、俺とあいりさんが頑張るしかない。
『アースウェイブ』
ヒカリンのスキル発動を合図に俺とあいりさんが前に出て、シルが『鉄壁の乙女』を解除しルシールを召喚する。
「我が忠実なる眷属よここに顕現せよ。『エデンズゲート』」
スライムは十匹いる。
あいりさんと固まると数に押される。
背後から襲われないように位置どりを意識して1番端のスライムへと走る。
「必殺! 殺虫剤ダブルブレス!」
スライムのマグマを警戒して少し遠めから殺虫剤ブレスを浴びせかける。
こういうシチュエーションを想定して、新発売の超ジェットロング噴射タイプ2100円を大量にストックしてある。
“しぶといGもロングジェットでコロリンコ。噴射距離当社比3倍”
のキャッチコピーに、探索者としての血がたぎり、強烈に惹かれ買わずにはいられなかった。
かなり高額だったけど通常の殺虫剤よりも勢いよく発せられた当社比3倍のブレスが的確にスライムを捉える。