A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (902)
ロングジェットでコロリンコ
その値段から実戦投入は初めてだったけどロングジェット仕様の殺虫剤はすごい。
当社比3倍を謳うだけあり、ジェットバズーカとも言える勢いでスライムを捉え、確実にダメージを与えている。
有効距離3倍とあるが、当然それだけ威力も上がっている上に俺のスライムスレイヤーのスキル効果とステータスが上乗せされ、スライムにとっては本物のバズーカを凌ぐ最強兵器と化している。
これはまさにブレス!
一直線に伸びる霧がスライムをどんどん削っていく。
オレンジの大型スライムがみるみるうちに小さくなっていく。
十匹いるので安心はできないけどこれがあればいけそうだ。
「あ……れ?」
勢いよく吹き出していたブレスの勢いが弱くなってきて出なくなってしまった。
時間にすると、トリガーに指をかけてからまだ十数秒しか経過していないはずなのに、もしかして切れた?
俺はマジック腹巻から慌てて新しいロングジェットを取り出して換装する。
すぐにブレスを再開してスライムを倒す事に成功したけど、もしかして、いやもしかしなくても当社比3倍は、噴射量にも直結していて消費量も3倍だったってことか!?
強力だけど使用可能時間も短くなってるのか!
まさにバズーカ仕様。
思い切って大量買しておいてよかった。
すぐに次のスライムへと向かいジェットバズーカを放つ。
射程が大幅に伸びたことで、素早いスライムの動きにも問題なく対応できている。
「あいりさん! 使いますか?」
「いや、それは……くっ、速い! 『斬鉄撃』ここは躊躇している場合じゃないな。海斗頼む!」
俺は左手でマジック腹巻からロングジェット殺虫剤の缶を取り出して、あいりさんに向かって投げる。
「あいりさん! 新商品です! 射程が3倍に伸びた代わりに減りも3倍です。遠距離から一気に決めてください!」
「ああ、わかった」
普段なら殺虫剤を良しとしないあいりさんだけど、この状況での最良を選択してくれた。
俺もスライムへとロングジェットブレスを吹きかけながら、すぐに次へと換装する。
やはり、一本では倒し切るには至らないようだ。
「あいりさん! もう一本」
「ああ、頼む」
先程と同様にあいりさんに追加の一本を投げ渡す。
目の前のスライムが消滅すると同時にブレス切れを起こした。
やはり、ちょうど2本で1匹倒せるようだ。
「海斗! もう一本頼む!」
あいりさんを見るとまだスライムを倒しきれていないようだ。
「あいりさん!」
追加で更に一本を投げて渡すが、スライムスレイヤーのスキルを持たないあいりさんの場合倒し切るまでに3本は必要なのか。
既に俺が4本使用使い切ってあいりさんに3本。
残るスライムは7匹。
残るロングジェットは……。