A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (903)
プロ駆除士
“コロリンコ“のキャッチコピーに惹かれ購入したロングジェット。
その数16本。
いつものドラッグストアで買った。
普段は顔を覚えてもらっているのか何も言われたことはないけど、今回は新人さんだったらしく購入時にはレジの人に「業者さんですか?」と聞かれてしまった。
まあ、一般家庭でこれだけの量を使おうと思えば何年もかかってしまうかもしれない。
ただ、それも既に7本使ってしまったのであと 9本。
このままいけば、上手くいってもあと3〜4匹倒せば使い切ってしまうのは確実だ。
頭の中で計算しながら周囲の状況に目を配り、指示を飛ばす。
「ルシール足止めを!」
ルシールへ指示を飛ばすと同時にあいりさんの下へと走り、急いでロングジェット4本を追加で渡してから次のスライムを確認する。
残るは7匹。
ロングジェットでいけるだけいく。
中央のスライムに狙いをつけて走る。
スライムもこちらの動きに反応してマグマを発するが、幸いにもオレンジのスライムのマグマは射程が短い。この距離なら避けられる。
回避して即座にロングジェットを放つ。
熟達したブレスは的確にスライムを捉えダメージを与えていくが、サイズが大きいせいで通常のスライムを倒すよりも時間がかかる。
この間に他から攻撃されると厳しいけど動くとズレてしまうので倒し切るまではあまり動く事はできない。
「海斗、背後はまかせろ! やあああああああ〜」
あいりさんが俺の背後をカバーしながらもう一匹のスライムへとロングジェットブレスを吹き付ける。
結構差し迫った場面だけど、あれほど使う事を躊躇っていたあいりさんが、気合いの声と共にロングジェットを放っている様は、ちょっとクスッとなりそうになる。
ようやくあいりさんも殺虫剤ブレスの良さがわかってくれたらしい。
両手のスプレー缶を使い切ると同時にスライムを倒し切り、缶を投げ捨て次の2缶へと換装し迫るスライムに距離を詰められる前にロングジェットを放つ。
「スライムにしてはしぶといようですね。お還りください。『エレメンタルブラスト』」
俺の右手側はルシールがカバーしてくれてはいるけど、ルシールのスキルとオレンジのスライムの相性は悪く、高く舞い上がったスライムが地に落ち「グチャッ」という音と共にその形を崩すものの消滅には至らない。
やはり、俺とあいりさんでやり切るしかない。
両手に持つスプレーも使い切り残るは1缶のみ。
あいりさんも1匹倒したようなのでおそらく残り1缶のはず。
残るスライムは4匹。
1匹はルシールが抑えてくれているので、先に残りの3匹を倒せばいい。
「あいりさん、行きますよ!」
「ああ海斗、殺虫剤はあと一本だがなんとかするぞ」
「あいりさん、殺虫剤はあと一本じゃないです。一本なのはロングジェットだけです。こっちを使ってください」
「これは……」
「いつもの殺虫剤です。射程は短いですけど、効果ともちはお墨付きです」