A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (909)
酸欠!?
「ヒュッ」
多分息をのむとか呼吸が止まる音を実際に発するとこういう音になるんじゃないだろうか。ベルリアの口からは変な音が聞こえてきた。
「あ……あ……あっ」
状況が少し理解できたのか、ベルリアが先程までのライトな感じから一転して焦り始めたのが見て取れる。
「ベルリア、今回はご主人様に怪我がなかったからよかったですが、いくら精神攻撃を受けたとはいえ主人に弓引くとは感心できませんね。サーバントとしての心構えが足りないと言わざるをえません」
「あ……う……」
「そうだぞベルリア。悪魔がスライム如きに操られるとは情けない。わたしを攻撃しようとした時には呆れて燃やそうかと思ったぞ」
「は……ふ……」
2人の言っている事は事実だけど、この様子だとあの瞬間ベルリアの記憶は無くなっていたようだし少々かわいそうな気もする。
普段健康そうな褐色のベルリアの顔色が目に見えて青くなってきた。
「お二人ともそのくらいで。ベルリアも悪気があったわけではないのでしょう。ただ心、精神が人より弱かっただけなのです。地上に出られるなら一緒に我が家の道場で精神修行をしたいところだ」
あいりさんがフォローしてくれたと思ったら結局フォローじゃなくて追い討ちをかけてるような……。
「ふ……きゅ」
ベルリアの顔色が青を通り越し紫に近づいてきている気がする。
あいりさんの所じゃなくても、こう何回もコロッといっちゃうなら精神修行はした方がいい気もするけど、あれは修行すれば防げるようなものなのか?
体質とか他の要因もある気がするし、何回もコロッといっちゃうしベルリアはそういう性質な気がする。
「修行程度じゃ無理だろ。こうなったら魔界にある獄刃の滝に打たれてみるか」
「ゴクジンの滝? なんかすごそうだな」
「たいした事はないぞ。猛毒を含んだ酸の水を浴びる事で絶え間なく激痛が襲ってくるだけだからな」
「う、わぁ。それは、たいした事あるだろ.本当に大丈夫なのか?」
「そんなのベルリアのやる気次第だろ」
さすがは魔界。猛毒の酸水を浴びる修行ってM過ぎる。
いくらベルリアがM属性持ちだと言っても、絶え間ない激痛には耐えられない気がする。
やる気の問題じゃない気がする。
「ごグッ……」
ベルリアの顔白が紫を超えどす黒くなってきてないか?
いくらなんでも顔色が悪過ぎる。
ベルリア本当に大丈夫か?
あまりに顔色がおかしいのでベルリアをじっと観察していると顔色がおかしい理由がわかった。
ショックが大き過ぎたのだろうか。ベルリア……息するのを忘れてる。