A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (916)
20階層へ
あいりさんのバイタルジュエルの効果が発揮され、シルたちの食事もほぼ終わったみたいだ。
その間に、みんなで休憩も出来たしベルリアも大丈夫そうだ。
19階層はメタル系モンスターの階層でとにかくモンスターが硬くて苦戦はしたけどなんとか攻略出来てよかった。
ただ、本来ボス戦を終える頃には、パーティメンバーがレベルアップできていればよかったけど、階層主がスライムだったこともあり、そこは仕方がないところだろう。
この階層でやる事はもう無いな。
「みんな、そろそろ降りてみようか」
まあ、階層主戦を終えたばかりで20階層を探索する事は無いのであくまでも20階層を踏むだけだから、危険はないはずだ。
みんなで20階層への階段を降りていく。
ある意味、この階段を降りている時が1番ワクワクする。
ダンジョンは一階層変わるだけで、大きく様相が異なる。
まるで新しい世界への階段であるかのようなこの不思議な階段を歩くたび緊張と共に期待感が膨らむ。
そして、今回は20階層。
もしかしたらダンジョンにとっては特別な意味はないのかもしれないけど、俺にとってはついに20階層だ。
いつも以上に期待が膨らむ。
「もうすぐだ」
20階層への階段の終わりが見えた。
階段を下り終えついに20階層の地を踏む。
「ここが20階層」
階段を降りた先には転移ゲートらしき物が見える。
そして一台の自動販売機が見えている。
ただ、ゲートのある階層にあるはずの物が見当たらない。
「お店がない」
これまでゲートのある階層にあった売店がない。
売店だけじゃなく、シャワー等の施設も全く見当たらない。
ダンジョン終わりの売店やシャワーには、お金に換えられないなんとも言えない良さがあるので、ここにないのは辛い。
「あれじゃない? この階層までくる探索者ってほぼ間違いなくマジックポーチかマジックストレージ持ちだろうし売店の意味がないんじゃない?」
「ああ、確かにそれあるかも」
じゃああの自動販売機はなんだ?
気になって自動販売機を確認してみると低級ポーション、中級ポーション、上級ポーションそれにマジックポーション、他にも幾つかマジックアイテムが並べられている。
確かに、ここに戻ってきた時に回復系のアイテムが切れてたりすることがあれば、このラインナップは有難い。
20階層ならそういうシチュエーションは十分有り得る。
ただ、値段は全くありがたくない。
1番安い低級ポーションが二十万円もしている。
二十万円〜の自販機なんか初めて見た。
だけどある意味飲み物が千円していた十五階層よりは良心的なのか?