A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (924)
放送直前SS
「さすがに今日は疲れたな。明日は家でゆっくりしようかな」
ここのところ、毎日のダンジョンと受験勉強、それに19階層突破の為に頑張ってたせいかなんとなく身体が重い。
さすがに、ちょっとキャパオーバー気味なのは自分でもわかってるけどどちらも疎かにはできない。
「ご主人様、明日はこちらへはこられないのですか?」
「そうだな、家でゆっくりしようかと思ってるけど」
「そう……なのですね」
シルのこの反応は、あれか。
「おい、海斗。まさかわたしたち達を放っておいて春香とイチャイチャするつもりじゃないだろな」
「そんなんじゃないって」
ルシェも口は悪いけど、もしかしてあれなのか?
「私も明日は予定がないんです」
ティターニアもアピールしてるのか?
「あ〜やっぱり、一階層でゆっくりしようかな」
「本当ですか!?」
「それがいい、やっぱり一階層の方が海斗にあってるぞ」
「明日はなにをしましょうか」
家より一階層があってるって意味不明だけど、3人とも喜んでくれてるっぽいし明日は一階層でくつろぐか〜。
いつもシル達は俺が勉強してる間くつろいでるけど、俺はあんまりダンジョンでくつろいだ記憶はないんだよな。
明日はなにか考えとかないといけないな。
翌日しっかり準備してからダンジョンへと向かった。
うん、やっぱり1階層は落ち着く。
だけどスライム狩りもせずに一日過ごすには、ここはなにもなさすぎる。
丸一日寝て過ごすプランも考えたけど、ルシェがいるからそれは難しい。
サーバント達と一緒にくつろげるのはこれしかない。
塩アンパンマン用のブルーレイプレイヤーがあるし、ブルーレイ鑑賞会だ。
だけど塩アンパンマンをずっと視聴するのは、ちょっと厳しい。
そこで、家にあった俺の秘蔵ブルーレイBOXを持ち込むことにした。
これは俺のバイブルとも言える名作だ。
「今日はみんなでこれを見ようと思う」
「え〜っ、塩アンパンマンじゃないのかよ」
「塩アンパンマンは、また今度な。今日持ってきたのはこれ。2024年7月6日22時〜放送開始された現代ダンジョン物の不朽の名作! モブから始まる探索英雄だ!」
「なんか冴えないタイトルだな」
「そう言わずに見てみろって。絶対面白いから」
「だってモブだろ?」
「いや、英雄譚だから」
「英雄譚ですか。ご主人様みたいです」
シル、俺が英雄ってそれは言い過ぎだ。
ルシェみたいにけなされるより嬉しいけど。
「どんなお話なんですか?」
「簡単に言うと、最弱のボッチ探索者が、サーバントの力を借りて英雄を目指す話だ」
「どこかで聞いたことがあるような……。主人公の名前を聞いてもいいですか?」
「主人公の名前? それはみてのお楽しみだ。アニメの中に出てくるサーバントとヒロインが本当にかわいいから」
「マスターはサーバントとヒロイン推しなのですか?」
「そんなの当たり前だろ。かわいいは正義だぞ?」
「かわいいは正義ですか?」
「ああ、それが世界の真実。このアニメの半分はかわいいでできてるんだ」
「それでは、残り半分は?」
「残り半分は、オヤジギャグと笑い。それに昭和の小ネタが多数。あとは主人公の成長ストーリーだな」
「昭和の小ネタですか?」
「ああ、そうだぞ。このアニメの脚本家の人がそういうの好きらしくてな。随所に挟んでくるから見逃さないようにな」
「そうなんですね。英雄譚なのに主人公の成長ストーリーは1番最後にくるんですね」
「そこは気にしたら負けだ。だってモブから始まる探索英雄だからな」