Ascendence of a Bookworm: I'll Stop at Nothing to Become a Librarian RAW novel - Chapter (28)
オットー宅へのお招き
オットー宅へのお招きは、オットーを通して正式にコリンナから招待状が届いた。薄い板に文字が書かれている物だった。
「さすがにわたし一人では答えられないです。母さんに聞いてみないと……」
いくら何でも洗礼前の子供に招待状を出すなんておかしいだろう。普通は親宛てに出す物ではないのか。出欠の確認は親にしなければならないのだから。
そう言うと、オットーは軽く眉を上げて、首を振った。
「まともに字を読めるのが、一家で君だけじゃないか。それに、この招待は断れないよ。もし、断ったら、君の母親とお姉さんは仕事を干される可能性もあるからね」
「え!? ど、どういうことですか!?」
コリンナは実家が裕福な商会で、本人が有能なため、裁縫ギルドのお偉いさんらしい。
色々と説明された結果、針子見習いのトゥーリが平社員かアルバイトみたいな立場で、染色の仕事をしている母が係長みたいな立場だとすれば、コリンナは役員みたいな立場だと理解した。
身分社会、怖い。お断りはできないんだね、うん。
これが、コリンナの招待ではなく、オットーからの招待なら、父の権限で断ることが可能らしい。なかなか難しい。
「それに、この機会に招待状の勉強もしようと思ったのさ」
「なるほど。お世話になります」
オットーと一緒に招待状を見ながら、招待状とその返事の書き方を勉強した。
「コリンナ様からの招待状ですって!? え? マインが!? 何故!?」
「オットーさんから聞いて、『簡易ちゃんリンシャン』を使ってみたくなったんだって」
「まぁ! なんてこと!?」
家に持って帰った正式な招待状を見た母がパニックを起こした。
あまりの母の慌てぶりに「断った方がよかった?」と聞いてみたら、くわっと目を剥いて怒られた。
「断るなんてとんでもないわ! 粗相のないようにするのよ!」
「はい! 気を付けます」
どうやら、招待状というより、召喚命令に近いものらしい。
母はそこから慌ててわたしのエプロンを新調し始めた。コリンナのところに行くのに、いつもの服では失礼にあたるらしい。
作りながら、金持ちからの招待に粗相があってはならないから、とわたしに思いつく限りの注意をする。
コリンナに簡易ちゃんリンシャンの使い方を教えるだけのつもりが、何だかすごい騒ぎになってきた。
「いいなぁ、マインだけ……。作ったのはわたしなのに」
「トゥーリも一緒に行っていい、母さん?」
「ダメよ! お招きもないのに」
簡易ちゃんリンシャンを考えたのはわたしだが、今まで作ってきたのはトゥーリだ。
トゥーリも行く資格はあると思うけれど、招待されていない人を勝手に連れていくのはここでも失礼にあたるようで、トゥーリがいくら羨ましがってもお留守番だ。
オットーとは前回の会合と同じ三の鐘に中央広場で待ち合わせをした。
わたしはいつもの服の上に、母が作ってくれた新しいエプロンをつけて、父と一緒に中央広場まで向かう。小さな壺に入った簡易ちゃんリンシャンと櫛を忘れずに、トートバッグに入れた。
中央広場の噴水の近くでオットーがすでに待っていて、わたしは父からオットーに引き渡される。
「班長、心配しなくても責任を持ってお預かりします。じゃあ、行こうか、マインちゃん」
「うん。いってきます、父さん」
「あぁ」
父に手を振って別れた後、オットーは城壁に向かって歩き始めた。
城壁に近い場所にオットーの家はあるらしい。貴族のいる城壁に近いほど、家賃は高くなるので、オットーの家はいわゆる高級住宅地にあることになる。
「オットーさん、兵士なのに、城壁の近くに住んでるの?」
「コリンナの実家の上に部屋が準備されたんだよ。可愛い妹を手放したがらない義理兄がここに住め、って言ってね」
「ハァ、なるほど……」
そういえば、オットーは婿養子のようなものだと聞いた気がする。確かに、嫁の実家の援助がなければ、下っ端兵士の給料でこんなところには住めないだろう。
市民権を買うのに、全財産をはたいたと言っていたし、もしかしたら、結婚当初は文無し状態で嫁の関係者も頭を抱えたのではないだろうか。
周囲の人の様子が、わたしの生活圏と少しずつ変わってくる。服の継ぎ接ぎがなくなっていき、ひらひらとした布を多用するデザインになっていく。
1階に並ぶ店の様子も変わっていった。店そのものが大きくなり、従業員が増え、出入りする客も多くなる。大通りを行き来する馬車が増え、荷車を引くロバの姿が減っていく。
わたしが歩いて行ける範囲の同じ街の中でここまでハッキリと階層の違いがあるのが衝撃的だった。
本で読んで、知識として何となく知っていたが、実際目の当たりにするのと想像は全然違う。目を瞬きながらわたしは周囲を観察した。
「ここの3階だ」
「3階!?」
オットーの家は7階建ての建物の3階にあった。
1階は店舗で、その上の2階は大体店の持ち主の家族が住んでいる。3~6階が貸し出され、7階は店の住み込みの見習いや従業員の部屋になっていることが多い。通りに近く、井戸に近い階ほど家賃が高くなる。ウチはどちらかというと門に近い場所の5階ということで、収入状況を察してほしい。
嫁の実家の上に部屋が準備されたということは、嫁はこの大きな店のお嬢様ということになる。
……よく結婚を許されたね。びっくりだ。旅商人と商会のお嬢様では、かなり身分違いな気がするんだけれど、この世界ではどうなんだろう?
「ただいま、コリンナ。マインちゃんを連れて来たよ」
「いらっしゃい、マインちゃん。よく来てくれたわね。わたしはコリンナ。オットーの妻です」
「初めまして、コリンナさん。マインです。オットーさんにはいつもお世話になっています」
初めて見るコリンナは、ビックリするほど可愛らしくて、愛らしい女性だった。
月の光を集めたような淡いクリーム色の髪がふんわりとまとめられていて、ほっそりとした首筋を強調している。瞳も銀色のようなグレイで、全体に色彩が淡くて、儚げに見える。
それなのに、巨乳。出るところがグッと出て、腰回りはキュッとくびれている。
オットーさんの面食い!
応接室に通され、わたしは壁にかかったパッチワークのタペストリーや飾られたコリンナの作品に、ハァ、と軽く息を吐いた。
装飾のある家庭をここで生活するようになって、初めて見た。
おそらく依頼人と仕事の話をするための部屋であることは、大量の服や端切れを使って作られた飾りからわかる。センスよく色とりどりの布に飾られた部屋は、何だかホッとする雰囲気の部屋だった。
ただ、それでも、裕福な商人の家として想像していたより、はるかに質素だった。円いテーブルも椅子も、何か彫られたり、艶々に磨かれたりしている家具ではなく、木目がそのままのシンプルなものだ。
確か、北欧の方の家具がシンプルなのも、飽きずに長く使うためだから、冬は雪に閉ざされるこの辺りも、そういう意図で家具を作っているのかもしれない。
「わざわざ来てくれてありがとう。髪を綺麗にしてくれるって聞いて、とても楽しみにしていたのよ」
ハーブティを入れながら、かけてくれる優しい声からもコリンナは育ち良いお嬢様という雰囲気がにじみ出ていて、おっとりとした雰囲気が庇護欲をそそる癒し系だ。
「おそれいります。わたしもオットーさんからコリンナさんのお話を聞いて、会えるのをとても楽しみにしていたんです。綺麗で可愛いだけじゃなくて、この部屋のセンスも、並べられた服も聞いていた以上でした」
「……本当に躾の行き届いたお嬢さんね。それに、聞いていた通りの綺麗な髪。わたしもこんな風になれるかしら?」
うっとりとした様子で、コリンナがわたしの髪を撫でる。
商品価値をより高く見せるために、昨日の夜、簡易ちゃんリンシャンを使い始めたら、母とトゥーリの二人がかりで磨かれたのだ。今日のわたしはいつも以上につるつるだ。
「早速、綺麗にしますか?」
トートバッグから壺を出すと、コリンナが顔を輝かせた。
素直な感情表現が可愛らしい人だ。オットーが溺愛するのも頷ける。
「髪を洗いたいので、水浴びができる準備が必要なんです。桶に水と、髪を拭くための布をお願いできますか?」
「水浴びだって?」
コリンナではなく、オットーが目を剥いて、声をひっくり返して驚いた。
「……洗うのは髪だけですよ、オットーさん。えーと、オットーさんが準備している間に、コリンナさんは濡れても良い服に着替えてください」
「えぇ」
「……なんだ、服は着たままか」
子供のルッツじゃあるまいし、さすがに、妙齢の女性に脱げなんて言いません。……っていうか、なんで、ガッカリしたような声出すんですか?
力仕事は男の仕事とばかりにオットーに動いてもらい、水浴びの準備をしてもらう。
寝室に布を敷いて、水を運んでもらったので、髪を拭くための布を準備して、小さな壺を並べて置いた。
「……これか。これをどうするんだ?」
興味津々の目でオットーが壺を振ったり、中を覗きこんだり、匂いを嗅いだりする。
オットーがここにいたら、洗いだしてからも、色々と手を出したり、口を出したり、コリンナと二人の世界に入ったりして、非常に面倒なことになりそうな予感がひしひしとする。
「男の人は駄目です。準備が終わったら、オットーさんは別の部屋で待っててください」
「はぁ? 俺は夫だぞ?」
「夫なら尚更、綺麗になった妻だけ見て、褒めちぎればいいんです。オシャレの過程を見るなんて野暮なことしないでください」
「そうね、オットーは別の部屋で待っていてちょうだい」
コリンナと二人がかりで、居座る気満々だったオットーを寝室から追い出した。
部屋の前でうろうろしている足音が聞こえているが、無視して壺を手にとると、コリンナの前で、桶に注いでいく。
「これ、『簡易ちゃんリンシャン』って言うんですけど、桶にこれくらいの水を入れて、このくらい入れてください」
「えぇ」
「これに髪を浸して洗っていきます。髪、解いてもらっていいですか?」
コリンナが解いた髪を恐る恐るといった風に桶につけていく。どうやら、前に水浴びをしてからそれほど時間がたっていないのか、コリンナの髪は予想していたほど汚れていない。
頭皮が綺麗になるように、何度も何度も液をかけながら、洗っていく。
「この辺りは特に念入りに洗ってくださいね」
「……人に洗ってもらうのって、気持ちいいのね。初めて知ったわ」
「オットーさんなら、頼めば洗ってくれると思いますよ?」
むしろ、頼まなくても手を出しそうな気がする。
「あら、オシャレの過程を見せるのは野暮じゃないの?」
「……目の前で二人の世界に入られたら困ると思っただけです」
「まぁ! ふふっ、こんな幼い子にまでそんな風に言われるなんて、オットーは普段一体どんなことを言っているのかしら?」
いつも洗いっこしているトゥーリより大きいので洗いにくいが、コリンナさんの満足具合でオットーから貰える釘の数が変わってくるに違いない。
腕によりをかけて丁寧に洗う。
「……ねぇ、マインちゃん。一つ聞いても良いかしら?」
「何ですか?」
コリンナの声が少し硬く聞こえて、思わずわたしは身構えた。
「オットーは門でどんな風?」
「……え?」
簡易ちゃんリンシャンの作り方でも聞かれるのか、と身構えてしまったわたしには、予想外の質問で、すぐには理解できなかった。
首を傾げるわたしに、コリンナが表情を曇らせて、呟く。
「わたしのせいで商人の仕事を諦めることになったから、気になって……」
「気にする必要ありませんよ。門で存分に商人しています」
忙しいと言いつつ、決算期の仕事を全部一人で抱え込んだり、備品を納品にくる商人とやり合ったり、門番の仕事を最大限生かして情報収集したり、オットーの行動原理は商人のものだ。
「え?……門で、商人しているの?」
「はい。特に、納品に来た業者とやりあったり、注文する時に値切ったりしている時は、とても商人らしい黒い笑顔で生き生きしてます」
「ふふっ、マインちゃんにはオットーが商人に見えるの。そう、そうなの。……心のつかえがとれたような気がするわ」
コリンナの髪は布で拭えば拭うほどクリーム色の髪が艶を帯びて、丁寧に櫛を入れると真珠のような光沢を帯びていく。
ルッツの金髪を洗った時も思ったけど、綺麗で羨ましい。こんな髪がよかったなぁ。
「櫛はできれば、木製の物を使ってください。使えば使うほど、木が液を吸収して、艶が出やすくなりますから」
「わかったわ。……本当にすごく綺麗になるのね」
するりと自分の髪に触れながら、感心したように呟いた。
「コリンナさんは元々の色が綺麗だし、お手入れされていたようなので、ほんの少しで見違えるほど艶が出ましたね。5~7日に一度くらいこれで洗うといいですよ」
まだ残りが入っている壺を示しながら、頻度の説明をすると、コリンナが首を傾げた。
「これ、頂いてしまってもいいの? そんな、悪いわ。何か代わりに……」
「大丈夫です。オットーさんから対価として釘をもらうことになっているんです」
「……釘? え? 値切られていない? 大丈夫なの?」
多少値切られていても、作り方を教えたわけではないし、欲しかった釘は手に入るし、これから先にコリンナが簡易ちゃんリンシャンの追加を欲しがるたびに、別の物を要求するつもりなので、特に問題はない。
「あの、マインちゃん。服が少し濡れてしまったから、着替えたいの。オットーと待っていてもらっていいかしら?」
「はい」
コリンナが着替えるというので、わたしが寝室を出ようとドアを開ければ、オットーが部屋の前で飢えた熊が餌の出現を待つように、うろうろとしながら待っていた。
「コリンナ!?」
「わたしは服が濡れたので着替えます。オットー、マインちゃんのおもてなし、よろしくね」
ドアからほんの少しだけ顔を出すようにして、ニコリと笑ってコリンナはそう言う。
まだ完全に乾ききっていない、しっとりとした濡れ髪が、濡れた服の上をするりと滑り、恥ずかしそうな言動が妙な色気を感じさせる。
「こんな状態を見せちゃってごめんなさい。急いで着替えるから」
コリンナはわたしを寝室から出すと、そそくさとドアを閉める。
ちらりとオットーの様子を伺うと、閉まったドアを見つめたまま惚けていた。
わたしなんて全く目に入っていないオットーの様子に心の中でガッツポーズを決める。間違いなくコリンナに惚れ直した。
「んふふ、コリンナさん、すごく綺麗になったと思いませんか? クリーム色の髪が宝石みたいに輝いて……」
「っ! コリンナ!」
「着替え中ですって!」
動きだしたかと思えば、いきなり部屋に突進しようとするオットーを慌てて止める。
もちろん、わたしの力では止まらない。暴走するオットーを止められるのはコリンナだけだ。
「オットー、着替え中のわたしの姿をマインちゃんに晒すおつもり?」
ドアの向こうからの静かな問いかけに、電池が切れた人形のようにオットーがぴたりと止まった。
しばらくの沈黙の後、くるりと振り返ったオットーが、恐ろしいほど綺麗な笑顔でわたしの肩をガシッとつかむ。
「……マインちゃん、急用を思い出さないか?」
惚れ直した妻といちゃいちゃしたいので、さっさと帰れということですね。わかります。
「頂ける釘の数によっては思い出すかもしれません」
わたしは台所のテーブルの上に置かれた釘の袋を見て、ニッコリと笑った。
オットーは釘の袋とわたしを見比べて、眉を吊り上げる。商人としての計算と妻への愛が天秤に乗って揺れているのが、目に見えるようだ。
「……」
「全部もらったら、父さんにもうまく言い訳できる気がします」
責任を持って預かると言ったオットーが、その場にあった釘を全部押しつけるようにして笑ったので、わたしは大人しくお暇することにした。
……リア充、爆発しろ!
予想以上にたくさんの釘が手に入ったので、まぁ、いいけど。後は勝手にしてください。
釘の入った袋を抱えて、わたしは一人でえっちらおっちら歩きだした。
釘が重い。一本なら軽いのに、量が増えると重い。少し歩いただけで腕がプルプルしてくる。
ダメだ。休憩がいる。
このままでは家までたどり着けない。中央広場の噴水のところで、一度座って休憩することにした。
腕が痛い。
プラプラと手を振ったり、揉んだりしていると、どこかからの帰りらしいルッツが、すたすたと目の前を横切っていくのが見えた。
「あれ? ルッツ? どうしたの?」
「マイン!? マインこそ、こんなところで何をしているんだ? え? 一人!?」
わたしの行動範囲は基本的に門と森だ。最短距離しか歩かないので、中央広場を通ることはない。そして、いつどこでぶっ倒れるかわからないわたしが、一人で行動していることにルッツが目を剥いた。
「ん? わたしはオットーさんのところからの帰り。こんなに釘が手に入ったんだよ。重いし、結構遠いから休憩中だったの」
「持ってやるから貸せ。なんでちゃんと送ってもらわないんだよ?」
ぶつぶつと文句を言いつつ、ルッツが釘の袋を持ってくれる。わたしが腕を痛める重さの袋も、ルッツには大した重さではないらしい。
「ありがと、ルッツ」
ルッツと一緒に歩いて家に帰りながら、今日あったことを報告する。
わたしが簡易ちゃんリンシャンで釘を手に入れた話をすると、ルッツは森に詳しい人や材木を扱う人に、紙にしやすい木やトロロになりそうな物を聞きに行ってきたらしい。
和紙を作るならトロロアオイを使うけれど、こちらでねばねばした液というと、エディルの実か、スラーモ虫の体液が一番に浮かぶらしい。
う、うぅ、虫の体液よりは、エディルの実がいいなぁ。季節を通してとれるのは虫だろうけど。
スラーモ虫から体液をとることを考えたくなくて、頭をプルプルと振った後、話を変えた。
「釘が手に入ったし、これで蒸し器が作れるね」
「ん? 大きさはどうするんだ? 鍋に合わせるって言ってなかったか? 鍋はおばさんが使っても良いって言ったのか?」
木を蒸すための蒸し器は、最初はそれほど大きくなくても良いが、できれば鍋に大きさを合わせたい。
しかし、鍋はどの家庭も料理で使う分しかない。貸してほしいと言っても貸してはくれないだろう。
「……言ってない。むしろ、食べ物以外入れないで! って怒られたことならある」
干物を入れようとしただけで怒った母が、木を蒸したり、煮たりする紙作りのためになんて、鍋を貸してくれるはずがない。
「ダメじゃん」
「ダメなんだよ。……どうしよう?」
「さすがにオレ、鍋は作れねぇからな」
鍋は高い。ものすごく高い。
壊れても修理しながら、ずっと使っていくものだ。
わたし達が欲しいと思っても簡単に手に入る物ではないし、金属の加工なので作ることも難しい。
「そうだよねぇ……先に
簀桁
を作ろうか。それなら、大体のサイズを決めてるから、作れるよ」
「……作れるやつから作るしかないよな」
思ったよりたくさんの釘を手に入れたし、トロロの原料になりそうな物も一応見つかったし、とりあえず一歩前進……だよね?