Ascendence of a Bookworm: I'll Stop at Nothing to Become a Librarian RAW novel - Chapter (478)
王族からの依頼
「ブリュンヒルデが連絡を入れたのですか?」
まだ文官コースの試験を終えたことは連絡していないのに、何故お茶会のお誘いが来るのかわからない。目を瞬くわたしにブリュンヒルデが軽く息を吐いた。
「先生方の間ではローゼマイン様が早々に講義を終えられたことは噂になっているようですよ」
「……予想以上に先生方は情報を共有しているのですね」
「複数の重要な共同研究の発案者であるローゼマイン様は、先生方の間で注目の的ですから」
一体いつから共同研究が始められるのか、どのように始めるのか、誰がどのように関わるのか、興味津々で待たれているらしい。そして、それらの情報が中央所属の寮監達から王族のエグランティーヌに流れるのは当然のことだそうだ。
「エグランティーヌ様が主催で本好きのお茶会を開くのは図書館の関係者を一堂に集めるためだと思います。司書を二人とも呼び出すのは図書館の使用者が増える前でなければ難しいので、なるべく早く開催したいとのことです」
図書館関係者を集めるということは管理者がハンネローレに変わったことについて話をしたいのだろう。お茶会の体裁をなしているけれど、実質的には王族からの呼び出しである。
「どちらで開催されるのですか?」
「エグランティーヌ先生の離宮だそうです。王族が主催するのに図書館の執務室は使わないでしょうし、参加人数を考えると図書館の執務室には入りきらないと思います」
ブリュンヒルデが「それに、図書館の執務室でお茶会をしようと考えるのはローゼマイン様くらいですよ」と苦笑して、参加予定者を教えてくれる。
「まず、司書であるソランジュ先生、オルタンシア先生、それから、図書委員であるローゼマイン様、ハンネローレ様、ヒルデブラント王子、そして、開催者のエグランティーヌ様とアナスタージウス王子だそうです」
王族が三人もいて、それぞれに側近がぞろぞろと付いて来ることを考えると、確かに図書館の執務室でお茶ができるとは思えない。
……シュバルツ達の管理者を変更する話の時もいっぱいいたもんね。
「それにして、アナスタージウス王子もいらっしゃるのですか? お忙しくて貴族院にいらっしゃることができなくて、入学前だというのにヒルデブラント王子が来ることになったのでしょう?」
まるでエグランティーヌを囲い込むエーヴィリーベのようだと思ってしまうのは、音楽の先生方のお茶会に乱入した印象が強いせいだろうか。
……そんなにエグランティーヌ様にひっついてなくても結婚してるんだから、どーん! と構えていればいいのにね。
ただ、ヒルシュール先生の話によると、アナスタージウスからダンケルフェルガーとの共同研究について助言をもらったようなのでお礼は言っておいた方が良いだろう。お礼は言っておいた方が良いと思うけれど、面倒だと思う心も抑えられない。
「ハンネローレ様も招待されていらっしゃるようですし、王族主催のお茶会でしたら欠席するわけには参りませんね」
エグランティーヌに事情説明をしていた時にも不安そうにしていたのだ。連絡不足で思いもよらぬ交代をしてしまったハンネローレを一人にするわけにはいかない。そうは思っても、なるべく近付ないように思っていた王族からの呼び出しには憂鬱になってしまう。肩を落として溜息を吐いていると、ブリュンヒルデが小さく笑った。
「そのように気鬱なお顔をしないでくださいませ、ローゼマイン様。アナスタージウス王子が本好きのお茶会のために王宮図書館から本を貸し出してくださるそうですよ」
……王宮図書館の本!? やばい、ときめいた!
グッと指を組んで、わたしはブリュンヒルデを見上げた。多分、今日一番の良い笑顔をしている自信がある。
「アナスタージウス王子はさすがエグランティーヌ様の御夫君ですね。素晴らしい方だと思います!」
「ローゼマイン様が参加に前向きになってくださって何よりです。ローゼマイン様はどの本を準備されますか? こちらからも貸し出すお約束をしているのでしょう?」
「やはり、お母様の恋物語かしら? エグランティーヌ様が興味を示していらっしゃいましたから」
王族からの呼び出しであろうとも、本の貸し借りをするのだと思えばテンションは上がる。王族のお茶会で興奮しすぎて倒れないように対策を練るブリュンヒルデの隣で、わたしは選書を始め、護衛騎士達は誰が同行するのかを話し合い始めた。
エーレンフェストに王族からお茶会の招待が来たことを報告し、持って行くお菓子や本を決めつつ、ヒルシュールの研究室へ通ううちにすぐに本好きのお茶会の日になった。午後からのお茶は5の鐘に行われることが多いのだが、4と半の鐘に来るように指定されている。
講義が始まっている時間なので静かになっている廊下を通り、わたしはエグランティーヌの離宮へ向かった。
「お待ちしていました、ローゼマイン様」
エグランティーヌの離宮に来たはずなのに、アナスタージウスの筆頭側仕えオスヴィンが出迎えてくれてくれたことで、本当に二人が結婚していることを実感した。
通された部屋にはアナスタージウスとエグランティーヌとその側近がいるだけで、他の参加者の姿はない。どうやらまだ到着していないようだ。
長ったらしい挨拶を交わし、わたしは出入り口へ視線を向ける。挨拶が終わっても他の人の姿が見えない。側仕え達が持って来たお菓子や本をやり取りしている様子を見ながら、居心地の悪い思いで部屋の中を見回した。
「……わたくし、早く来すぎたようですね」
「いや、其方に話があったので、早めに呼び出しただけだ」
アナスタージウスから席に着くように言われて座る。王族からのお話というだけで嫌な予感がする。聞かずに済ませてしまえればよいが、そういうわけにもいかないのだろう。一つ深呼吸して、わたしはニコリと笑った。
「わたくしにお話とは何でしょう?」
「ずいぶんと派手に動いているな」
……派手に動いたことなんてあったっけ? ここ最近は魔力の圧縮を少なくしたおかげで魔力の制御もできているし……
じろりと睨まれて、わたしは必死で派手に動いた時に当てはまる行動を思い返す。アナスタージウスの情報源はエグランティーヌだ。ならば、エグランティーヌと関わった時の話に違いない。
「……あ! 奉納舞のお稽古で魔石を光らせてしまった時のお話ですね?」
あれは確かにちょっと派手な行動だったと思う。やっと思い当たる出来事に行き当たったわたしが思わずポンと手を打つと、アナスタージウスはひくっと頬を引きつらせた。
「違う。ダンケルフェルガー、ドレヴァンヒェル、アーレンスバッハの三領地と共同研究を行うことだ。派手に動くエーレンフェストの見解を聞かせろ」
「え? 共同研究を派手な動きとおっしゃられても困ります。エーレンフェストとしては断りようがなかったのです」
わたしの言葉にエグランティーヌがおっとりと微笑んだ。
「ローゼマイン様、断れなかったという理由をお伺いしてもよろしいかしら?」
「はい。ダンケルフェルガーはアナスタージウス王子からのご指示ですし、大領地ドレヴァンヒェルからの誘いは領地の順位的にも断りにくく、こちらの利も大きかったのでお受けしました」
「アーレンスバッハは?」
アナスタージウスに問われ、わたしは一瞬言葉に詰まる。
「アーレンスバッハとの共同研究にはわたくしの文官コースの合格がかかっていたのです」
「どういう意味だ?」
「わたくしがフラウレルム先生に目の敵にされていることはご存知でしょう? 文官コースは個別で試験を受ける以上、妨害もあるのですよ」
まぁ、とエグランティーヌが軽く目を見開いて、アナスタージウスが「そのような報告は受けていない」と憤慨する。
「でも、特に問題はありません。共同研究と引き換えに終わりましたから。来年も何かされそうになった時はご相談させていただきますね。わたくしとしては元々図書館の魔術具の研究をするつもりでしたから、構わないのです。……それに、アナスタージウス王子とお約束したではありませんか」
わたしの言葉にエグランティーヌが「どんなお約束をされたのですか?」と首を傾げて、アナスタージウスは「其方と約束をしたことなどあったか?」と記憶を探るように目を細めた。
「以前に、今度の領地対抗戦で驚かせるような研究をする、とお約束したでしょう?……まさかこんな展開になると思っていなかったので、わたくしは自分のことながら驚いているのですけれど、アナスタージウス王子も驚かれましたか?」
約束の内容を説明すると、アナスタージウスはまるでフェルディナンドの薬を飲んだような苦い顔になって頭を押さえた。
「……あぁ、考えるだけで頭が痛くなるほど驚いた」
「それはよかったです。王族とのお約束を破ることにならなくて」
ふふっとわたしが笑うと、エグランティーヌも「まさかローゼマイン様とアナスタージウス様がそのようなお約束をしていたなんて。仲良しですね」とクスクス笑った。
「別に仲良しではない。ヒルシュール以外からも少しは価値のある研究成果を出せ、と言っただけだ」
フンと鼻を鳴らしながらアナスタージウスはじろりとわたしを睨んだ。エグランティーヌの口から「仲良しですね」という言葉が出て拗ねているのはわかるが、わたしを睨まれても困る。
「それで、エーレンフェストは大領地三つと共同研究をするようだが、クラッセンブルクと共同研究をする予定はないのか?」
アナスタージウスの質問に、わたしはクラッセンブルク出身のエグランティーヌに視線を向けた。バランスを考えると、クラッセンブルクとも共同研究をした方が良いのかもしれない。けれど、正直なところ手一杯だ。
「クラッセンブルクからはドレヴァンヒェルと違ってお誘いもいただいていませんし、ダンケルフェルガーのように共同で研究しなければならない内容がございません。それに、アーレンスバッハのように元々一緒に研究していた内容もないので、特に予定はありません。このようなことは王族に申し上げることではないのでしょうけれど、これ以上は研究に割ける文官見習いがいないという理由もあるのです」
文官見習いが全くいないわけではないが、大領地と共同研究ができる実技の成績と魔力を持っている者はそれほど多くない。
「なるほど……」
アナスタージウスは小さく頷いた。「王族に申し上げることではない」と言いながらぶっちゃけた理由を述べることで、クラッセンブルクからの申し出がないように配慮してくださいね、という要求である。
「共同研究に関して、エーレンフェストの考え方はおおよそ理解した。三つの研究を同時進行させるのであれば、失敗がないように気を付けた方が良い。価値の高い研究は奪われやすい。常に狙われていると思え」
せっかくの忠告なので神妙な顔で頷いてみたものの、研究を奪いたい人はいないと思う。
まず、神々にお祈りを捧げることとご加護の関係についての研究が奪われたとしても、神々に祈るという行動が伴わなければ意味がない。大事なのは自分の行いだ。
次に、エーレンフェストの特産品にいかに付加価値を付けるかという研究が奪われても、こちらは全く痛くない。ドレヴァンヒェルを敵に回してでも研究してくれるのならば、むしろ、研究結果の発表が楽しみになるレベルである。
そして、ライムントの省魔力で図書館の魔術具を再現する研究は、中央に対する貢献度が他に比べて明らかに低いので一緒にやりたい人がいると思えない。仮に、フェルディナンドの厳しい選別を潜り抜けて弟子となり、より良い図書館を作るために一緒に研究したいという熱意に溢れた人ならば、わたしは両手を広げて歓迎する。
……労力をかけて奪ってもガッカリするだけって感じだよね。
わたしがそう思っていると、アナスタージウスが咳払いをして、「聴いているか?」とわたしを睨んだ。ここで正直に「聴いていませんでした」と答えたら怒られることはすでに学習している。わたしは何も言わずにニコリと笑った。
「其方の祝福のことだ。……私達の卒業式で祝福を贈ったのは其方であろう?」
「……な、何のことをおっしゃっているのか……」
突然の話題変換、しかも、わたしにとっては非常によろしくない話題に心臓が跳ねた。アナスタージウスがわたしを見ながら、無駄に綺麗な笑顔を浮かべて口を開く。
「入場と同時にどこからともなく降ってきた祝福のおかげで、次期王に相応しいのは私やエグランティーヌだという意見が出たわけだが、それは知っているか?」
「う……」
完全に確信を得ている言葉だ。このまましらを切りとおすのかどうか悩んでいる間にもアナスタージウスはわたしの祝福がどれだけの波紋を中央に広げたのか説明してくれた。
「一度は私が王位に就くのを諦めたはずの側近達が次期王に相応しいのは私だと盛り上がり、兄上の側近達は、エグランティーヌはやはり次期王の妃になるべきだから奪い返せと息巻き、身を引いたという宣言が用をなさぬ状態になったのだ。あれを収めるのには父上も、兄上も、私も骨が折れた」
王族の中で大変な騒動が起こっていた様子を述べられると、元凶であるわたしとしては身の置き所がなくて、この場から逃げ出してしまいたい。もちろん、そんなことができるわけもない。
内心でおろおろしているわたしを見ながら、アナスタージウスは不意に真面目な顔になった。
「故に、次の領主会議で行われる兄上とアドルフィーネの星結びの儀式で其方に神殿長をしてほしい」
「え?」
「わたくしからもお願いいたします、ローゼマイン様。本物の祝福を次期王とその妃に贈ってほしいのです」
音楽の実技で一曲分も祝福を垂れ流すほど祝福を与えるのは得意なのだろう? とアナスタージウスに言われ、わたしは答えに窮する。王族にはなるべく近付くな、と言われているし、中央神殿の神殿長の顔を潰すような挑発行為はしたくない。けれど、同時に「王族には逆らうな」とも言われているのである。どうすれば良いのか、とても難しい。
「……それは王命ですか?」
「いや、私からの個人的なお願いだ。兄上が次期王となることに周囲が文句を付けられぬように祝福を頼みたい。次期王と決められても、兄上は難しい立場なのだ。……何故かわかるか?」
……グルトリスハイトがないから。
すぐに答えは浮かんだ。けれど、これを口にして良いのかどうかがわからない。アナスタージウスのグレイの瞳がわたしの様子を探っているのがわかって、喉がヒリヒリとしてきた。
「去年の領地対抗戦で強襲を受けた。その時に彼等が何を言っていたか、聞こえたであろう?」
「グルトリスハイトを持たぬ偽りの王、と聞こえました」
わたしの答えにアナスタージウスはゆっくりと頷いた。
「あぁ、そうだ。政変はグルトリスハイトを継承した第二王子が殺害され、同時にグルトリスハイトを失ったことから始まった。第二王子の離宮や殺害された場所はもちろん、王宮や第二王子と交流があった主要な貴族の館に至るまで色々なところを探したが、グルトリスハイトは見つからなかった。現在も見つかっていない。故に、父上はグルトリスハイトを持たぬ王なのだ」
わたしは聴いていることを示すためにゆっくりと頷いた。けれど、何故こんな話が始まったのかわからない。結構深いことを話されている気がする。ゆっくりと自分が深みに連れ込まれているような気がしてならない。
「グルトリスハイトがなければ、王であっても国の大事に魔術が使えず、ただひたすら魔力を注ぎ続けたとしても、以前の状態を維持するしかできぬ。けれど、誰かが王として国中に魔力を注がなければ、ユルゲンシュミットは成り立たない。父上は王となってから人身御供のように魔力を注ぎ続けている。……兄上も、私も同じだ」
礎の魔術なしに領地を治めなければならないアウブのようなもの、と聞いている。領主候補生の講義を受けたわたしはそれがどれほど大変なことなのかわかる。
「そんな状況の中降ってわいた祝福にどれだけの者が熱狂したか、わかるか?」
わたしはきゅっと唇を引き結ぶ。
「エグランティーヌを巡って再び争いが起ころうとした時に、兄上は私とエグランティーヌの結婚をすでに決まったことだと言って、自分の側近達を
諌
めてくれ、祝ってくれたのだ。だから、私はせめて兄上の周囲の雑音だけでも減らしたい。神々のご加護をたくさん得たエーレンフェストの聖女から星結びの儀式で祝福を与えてほしいのだ」
アナスタージウスの家族を思う気持ちが胸に迫って来る。起こった面倒事がわたしの祝福のせいならば、責任を取る必要はあると思う。そして、もう一つ。フェルディナンドとディートリンデの星結びの儀式も見ることができるのではないか、という下心もある。
「アウブ・エーレンフェストと王に許可を求めてくださいませ。わたくしの身の安全のため、特例として壇上にわたくしの護衛騎士を配置することをお許しいただけるならば、お兄様を思うアナスタージウス王子のお願いですから引き受けたいと存じます」
「……感謝する」
アナスタージウスがホッと息を吐いた。エグランティーヌもその隣で本当に嬉しそうに微笑んでいる。
そこに、オスヴィンが来客を知らせに来た。ハンネローレが到着したらしい。
「知らなかったこととはいえ、誠に申し訳ないこと……」
「其方の謝罪は不要だ、ハンネローレ」
挨拶を終えるとすぐに謝罪の言葉を述べ始めたハンネローレの言葉をアナスタージウスが遮った。
「エグランティーヌが言ったであろう? 連絡をしていなかった図書館側の責任である、と。私もその認識である」
ハンネローレがホッとしたように胸を撫で下ろす。
「むしろ、其方達、図書委員に協力してほしいことがあるため、今回のお茶会を開催することになったのだ」
「協力、ですか?」
ハンネローレが目を丸くしている。叱られると思って出て来たら、協力を要請されるのだ。驚くだろう。
……わかる、わかる。王族からのお願いは心臓に悪いよね。
そう思いながらも、わたしの視線が向かう先はハンネローレが文官見習い達に運ばせている本である。ダンケルフェルガーの大きくて分厚い本が運ばれている。
……今回はどんな本かな? 楽しみ。
「ローゼマイン、他人事のような顔をしているが、其方にも協力してもらうぞ」
「え? でも……わたくし、シュバルツ達の管理者がオルタンシア先生で安定するまで図書館には近付かないように、とソランジュ先生から言われているのですけれど」
「シュバルツ達とは別件だ」
アナスタージウスがそう言った後、わたしを見下ろしてフッと笑った。
「本好きな図書委員達に喜んで協力してもらうために王宮図書館から本を運ばせている。快く協力してほしい」
「お任せくださいませ! できる限り協力させていただきます!」
王族からの要望を拒むな、と言われているわたしは笑顔で快諾した。ハンネローレも「王族からのご要望でしたら」と頷いている。
「何をすればよいのでしょう?」
「ヒルデブラントが持ち帰って来た開かずの書庫に関することだ。王族にとってどれほど重要な情報か、わかるであろう?」
先程延々とグルトリスハイトがない弊害について話をされたところだ。王族がどれだけグルトリスハイトを望んでいるのかわかる。貴族院で広がっていた噂話の類でも、藁をもつかみたい気分になるのは理解できた。
……できる限り協力するって言っちゃったよ。わたし、もしかして早まった!?
早まっても早まらなくても王族からの命令であれば逃れようがないのだが、わたしは思わず頭を抱えた。