From Slaying Metal Slimes to Being Called the King of Black Steel e RAW novel - Chapter (24)
第24話 『色付き』スライム
悠真は頭を抱えた。昨日出た赤いスライムが『火耐性』を持っているなら、この青いスライムが『冷気耐性』を持っていても不思議ではない。
だが冷気が効かないとなれば冷却スプレーで動きを止めることはできない。
それは炎が効かないことより厄介だ。
「うーん、どうしよう」
悠真は取りあえず‶金属化″して、穴に入ってみる。青いスライムはすぐさま飛びかかってきた。
キーンッと鳴り響く金属音。やはり『色付き』は攻撃的なようだ。
ガスバーナーで炙ろうとすると、全力で逃げ回る。
「やっぱり炎は嫌がるな」
悠真は一旦穴の外に出る。冷却できない以上、炎を当てることができない。
だが、こいつを倒すには‶炎″の力が絶対に必要だ。
「ちょっと大掛かりになるけど、やってみるか」
‶金属化″してから五分が経ち、元の体に戻った悠真は家に入ってバケツに水を張り持ってくる。穴の周りに水を撒き、火が広がらないようにした。
そして物置から冬に使っていた灯油を持ってくる。
「頼むぞ~、これでダメなら打つ手が無いからな」
マメゾウを安全な場所まで避難させてから、穴に灯油を流し込む。青いスライムは流れ込んできた液体に戸惑っているようだ。
かなりの量を撒き、よく燃やすために新聞紙も投げ入れた。
悠真は持ってきた紙にライターで火を付けるとチリチリと燃えだした紙を穴の中へ放り込む。
ひらひらと揺れるように落ちていく紙が穴の底につく。一気に火が燃え広がった。穴は炎で覆われ、火柱が立ち上る。
煙も出てくるため、悠真は親にバレないかドキドキしていた。
穴の中にいる青いスライムは逃げ惑うも、地上に出ることはできない。
そのまま炎に巻かれてゆく。
十分後――
炎が収まったので穴の中を覗くと、黒く焦げた地面の片隅にスライムはいた。
形が崩れ、表面はボロボロになっているように見える。
悠真は穴に入り、身を屈めて持っていた金槌を振り下ろす。青いスライムは粉々に砕け散り、砂となって消えていった。
「ふー、なんとか倒せた」
見ればスライムがいた場所に青い石が落ちている。悠真はその石を拾い上げようとするが、まだ熱くて持てない。
袖を使って摘まみ上げ、
煤
を払うと鮮やかなメタリックブルーの色が目についた。
悠真はすぐに台所に行き、‶青い魔鉱石″を水で洗ってから飲み込んだ。
「効果は大体想像できるよな」
マメゾウを庭に戻し、ガスバーナーなどの道具を片付けた後、悠真は自分の部屋に戻って金属化の能力を発動する。
真っ黒になった腕に、冷却スプレーを吹きかけた。
「やっぱり、まったく冷たくないぞ!」
腕に冷気は感じなかった。これで冷却に対する耐性も得たことになる。
金属の弱点である炎と冷気、この二つを克服できたのなら金属化している間はほぼ無敵じゃないのか?
そんなことを考えながら悠真は学校に行く支度をする。
青いスライムを倒すのに時間がかかったせいで、早くしないと遅刻しそうだ。
二日連続で『色付き』が出てきたなら明日も出てくるかもしれない。悠真はそんな期待を抱きながら家を出た。
そして翌朝、それは現実となる。
「おお!? あれ? 金色のスライムか?」
色が付いているのは間違いないが、前に見た金色の金属スライムに見える。もう、こいつはいらないよと思っていたが、よく見ると何かが違う。
「これ……金じゃなくて黄色か?」
懐中電灯で照らしながら観察すると、金とは微妙に違うように見える。
メタリックイエローだろうか。とにかく倒してみることにした。‟金属化”して強烈な猛攻に耐えつつ、いつものように冷却してからガスバーナーで炙る。
ここまでは問題なく行えた。だが数回では表面にヒビが入らず、七、八回繰り返すことになる。
「やっぱり金色のスライムかな? でも赤や青のスライム並に強いぞ」
ボロボロになった所で金槌を振り下ろす。いつものように魔鉱石がドロップした。
転がっている魔鉱石を拾い上げて見てみるが、やはり‟金の魔鉱石”とはなんとなく違う気がする。
「まあいいか」と洗ってからその魔鉱石を飲み込む。変わった感じは無い。
結局、金のスライムと同じなのか、よく分からなかった。