Kanna no Kanna RAW novel - chapter (72)
第六十七話 虎穴に入った兎は愛と夢と希望とロマンとその他諸々が詰まっていない陰謀を「ドパンッ!」するピョン
「さて、大物はとりあえず仕留めた。魔獣の残りは他の者達に任せてもいいだろう。君とクロエは背後を気にせず洞窟の内部へ向かってくれ…………ぐッ!」
レアルは表情を歪めると膝を折って崩れ落ちそうになる。剣も手からこぼれ、『ガランっ』と剣が落ちたにしては異様なほどの音が立つ。彼女はどうにか片膝立ちで体を支えたが、呼吸はかなり荒い。ピンク色の思考は霧散し、俺は彼女に駆け寄った。
「レアルッ!?」
「はぁ、はぁ、はぁ…………ッ、安心しろ。『ドラゴニック・レイジ』の反動だ。あれは術者に無双の力を与えるが、効果時間が短い上に使用後に凄まじい疲労感が来る。ある程度体力が回復しても、一時間近くは身体能力も元々の半分以下にまで落ち込む」
切り札の存在だけは教えられていたが、まさかアレほどの効果があるとは驚きだ。代償は大きいだろうが超短期決戦用と考えれば妥当か。
さて、と。
後顧の憂いはコレで無くなったか。
「後は任せな」
「ちょ、ちょっと待つでござるよカンナ氏ッ。まさか竜剣殿ーーいや、レアル殿を置いていくつもりでござるかッ!?」
立ち上がり、洞窟に体を向けようとしたところでクロエが俺の肩を掴んだ。
「あんな満身創痍の一歩手前の状態で連れて行く気か?」
「この戦場にはまだリザードマンが大量に残っているでござる。そのような場所にレアル殿を置いては行けないでござるっ」
こいつは人の話を聞いていたのか? これ以上に手間を掛けると、洞窟から新手の魔獣が溢れ出す。そうなれば、それこそレアルに大きな危険が降りかかる。だからこそ、レアルは代償を承知の上で切り札を切ったのだ。
切った札が間違いでなかったと証明できるのは、俺しかいない。
「私は私の役目を全うした。君は君の役目を全うしてくれ」
「カッ。物語の一説に出てきそうなお言葉だこと」
「そこは黙って頷く場面じゃないのか? ま、君らしいと言えばらしい。…………時間がない、行ってくれ!」
「応さッ!」
俺は肩を掴むクロエの手を振り払い、アイスボードに飛び乗って洞窟へと突入した。新しい魔獣の気配はまだ無いが、残された時間がまた無いのもまた事実。俺は焦りと、それよりも大きな苛立ちを抱きながら洞窟の奥へと言葉を投げた。
「人を散々働かせやがって。どこの誰が企んだかは知らねぇが、俺が愉快に痛快に台無しにしてやる」
「おろろ?」
「…………どうした」
外界からの光の届かない洞穴の奥に彼らは居た。
一人は小柄な男。顔に張り付いているのは笑みだが、柔和と言うよりは得体の知れない不気味さがにじみ出ている。閉じる寸前までに細められた瞳の奥には怪しげな光が宿っていた。
一人は長身の女性。男とは対して無表情でありながらも、触れれば有無言わさずに断ち切られそうな鋭い気配を身に纏っている。目を引くのは、両の腰に帯びた計六本の剣。
前者の声は男性が。後者の声は女性が発したものだった。
「ややや、どうやら表に配置していたジェネラルゴブリンの大将が討ち取られたみたいだねぇ」
「なに? 貴様が直に手を加えた強化個体ではなかったのか?」
「おかしいぃねぇ。Bランクの能力を総合的に引き上げて、戦闘力は間違いなくAランクに到達していたんだがねぇ。そいつを乗せてた品種改良したリザードマンにしても、Bランク程度の力はあったはずなんだがねぇ」
「…………ふん、貴様といい『糸使い』といい、魔獣を手懐けるような輩の手札はやはり信用ならんな。『万軍』とは聞こえがいいが、率いるのが烏合の衆では意味がない」
「そりゃぁ『天剣』の君や『剛炎帝』の彼みたいな人外レベルの実力者と比べられたら、大概の存在は『烏合の衆』でしょうねぇ」
女性の言葉には隠しようのない侮蔑が込められていたが、男性は些かも気にする様子もなく首を捻った。『天剣』と呼ばれた女性は人外呼ばわりに小さく眉間を険しくしたが、男ーー『万軍』は調子を変えずに言葉を続ける。
「助手君に任せたはずの『オーガ」達も未だに来ないし、どうにも妙なんだよねぇ。本来なら、リザードマンとジェネラルゴブリン。それと背後からのオーガで表にいる人間は殲滅されてる頃なんだがねぇ」
「大方、術式の失敗でもしたのではないか?」
「万が一に備えて、助手君の体の中に『色々』と仕込んでたから、オーガの召喚だけは成功しているはずなんだがねぇ。召喚術式を敷いた野営地に、オーガを討伐できる様な実力者はいないはずなんだがねぇ」
「…………もしやオーガが討伐されたのでは?」
「それこそあり得ないねぇ。これ『時詠み』からの指示だ。『彼女』の指示で動いたのならそれこそ失敗は『あり得ない』。君も知ってるだろう?」
ねっとりとした『万軍』の言葉に、『天剣』は舌打ちで答えた。それを肯定と受け取った男はクスリと笑う。
「私が表に出て騎士団と冒険者どもを皆殺しにすれば話は済むだろう」
「了承しかねるねぇ。今回、君に任された役割は僕の護衛だろう? 第一、君が暴れ回ったらこの鉱山がーーというか近辺の地形がめちゃくちゃになっちゃうねぇ。ここに敷いた『魔術式』はこの作戦の後もしばらく使うからそれは止めて欲しいねぇ」
『万軍』が指さしたのは、日の光が届かない場にあって唯一の光源。地面に描かれた巨大な魔術式だ。騎士団の野営地に描かれていたそれよりもさらに大きく、複雑な術式が描かれていた。
「ま、仕方がないねぇ。こうなったら予定を繰り上げて『大物』を呼んでしまおうかねぇ。下手な脱走者が出ればそれこそ今後に支障がでるか分からないからねぇ」
やれやれ、と首を左右に振るが、その実ちっとも困った様子のない『万軍』に『天剣』はまたも苛立ち舌打ちをした。冠する名に恥じぬ、万に匹敵する軍勢を操る彼の力は認めざるを得ないが、己を鍛えずどこまでも他者に力を依存するそのあり方は彼女にとっては相容れない。『上』からの指示が無ければこのような任務、引き受けなかったのに。
(そもそも、『時詠み』の指示であるならば、『護衛』などという『万が一』に必要な人員など無用だろうに)
そう思う一方で、無理もないと納得する部分もあった。
(…………一ヶ月前に起こった『竜剣』の脱走。任務に出たきり連絡が取れない『剛炎帝』。何より『封印されていた魔神の復活』。今まで発生してきた『イレギュラー』の度合いから見て、これらを『時詠み』が見逃すはずがない)
慎重になるのも仕方がない事態が立て続けに起こったのだ。不本意ながらも今回の任務に従ったのは自分だ。内心の文句は止められないが、それ以上の不満を露わにするのは子供すぎる。
感情は切り捨て、いま成すべきは足下の巨大な魔術式に嬉々として手を加えている『万軍』の身を守ることなのだ。
ーーーー思考よりも先に身体が反応した。
『天剣』が駆けだしたよりもわずかに遅れて、硬質な音がこの空間の入り口から小さく木霊した。音に気が付いた『万軍』は「ん?』と顔を上げたが、彼が何事かを確かめる前に『天剣』に首根っこを捕まれた。
「ぐへぇッ!? ちょ、何をするのかべぇッ!?」
「黙ってろ! 舌を噛むぞ!」
残念、既に噛んでいた。
力任せに襟を引っ張られた『万軍』は舌を痛めながら抗議の声を上げようとしたが、それを遮るように轟音がこの空間を支配した。
『万軍』は突然のことに目を白黒とさせたが、『天剣』は全てを把握していた。空間の入り口から飛来した『氷の砲弾』が、寸前まで『万軍』が居た場所を狙って猛速で飛来し、その背後の壁に激突したのだ。もし『天剣』が『万軍』の首根っこを掴んで退避させなければ、彼は今頃氷の砲弾によって粉砕、即死していたに違いない。
『天剣』は掴んでいた男を適当に放り投げるとすぐさま左右の腰に備えていた剣を一本ずつ抜刀し両手に構えた。どうして今まで気が付かなかったのか。空間の入り口、その先から明確な『敵意』が近づいてきていた。今し方の『氷の魔術』もそれの仕業に違いない。
だが、大きな違和感を覚えた。近づいてくる敵意はもう疑いようがない。氷属性の魔術を扱える魔術士ならば、間違いなく腕利きだ。相応の高い魔力を宿しているはず。だが、そこには欠片ほどの魔力も感じられなかった。魔力の扱いに長けた者なら内包する魔力の気配を隠蔽するのは容易いが、魔術を発動した直後であるならば確実に魔力は漏れる。それすら感知できない。
そこに答えを出す前に、『敵』が姿を現した。白髪の男。奇妙なことに氷の板のような物の上に両足で立ち、先ほどの砲弾ほどではないがかなりの速度でこの空間に進入してきた。
彼女は迎え撃とうと即座に動き出す。あれだけの速度で突入してきたのだ。『奇襲』が成功したと確信した上での行動だ。一気に勝負を決めようとしている。ならばその慢心を逆手に取り、トドメを刺しに来るところを万全の状態で返り討ちにしてやればいい。
しかし、その予想は白髪の顔を見て間違いだと気が付く。
彼の目は剣を構える『天剣』や放り出された『万軍』をまるで捉えていない。最初から対象外とばかりに一点に集中していた。
「しまッーーーーーーッッ!?」
『天剣』が間違いと察するよりも早くに、白髪の男はスピードの乗った氷の板から跳躍し、速度そのまま山なりに飛ぶと地面に描かれていた巨大な魔術式に、いつの間にか手にしていた氷の斧を叩き込んでいた。
衝撃音と共に斧が命中した地点から氷の剣山が大地を飲み込み、魔術式を穴だらけにしてしまう。魔術式に宿っていた魔力は大きな燐光を一度放つと空気中に霧散し消滅してしまった。
『あの男、最初から狙いは魔術式かッ!?」
最初の奇襲で敵の狙いを完全に誤解していた。相手に迎撃の体勢を取らせて動きを止め、その隙に本命の召喚魔術式を破壊したのだ。相手の策略にまんまと引っかかり、『天剣』は屈辱の怒りに震えた。
「のぉぉぉおおおおおおおおおおおおおッッ! 私が丹誠込めて作った魔術式がぁぁぁぁぁぁッッッ!?」
頭を抱えて絶叫する『万軍』。ねっとりした口調も忘れるほどだ。
相方の大声に顔をしかめる『天剣』だったが、白髪の行動にさらに顔をを引き攣らせた。なんと彼は『天剣』『万軍』を完全に無視し、またも氷の板に乗ると来た道をあっさり引き返していったのだ。
こちらを、最初の一撃以外に完全無視である。舐めて来るにも程がある。
「いい度胸だ。それほど死にたいなら微塵に切り裂いて殺してやる」
白髪の突入、脱出の速度はかなり速かったが『天剣』の最速よりは幾分か劣っていた。追いつき次第に滅多切りにしてやる。彼女は意気込み、大地を踏み砕かんばかりの勢いで走り出し、白髪が消えていった空間の出入り口ーー通路に飛び込んだ。
脳よりも速く、身体がその選択を『失敗』と判断した。
通路に入った途端に彼女が目にしたのは、宙に浮かぶ人の頭ほどの大きさがある氷の固まりと、その側でやはり氷の槌を構えた白髪の男だった。
カンナ式必勝法の一つにこうある。
「開幕『前』ドパンッ!、はむしろ礼儀である」と。
相手の認識の外から最大威力をぶち込んで一気に勝負を決めてしまおうぜ、という爽快感溢れる手段である。ラスボスの巣くうダンジョンは、もし可能なら『扉の外から最大火力を叩き込み、戦闘になる前に撃破する派』で定評な俺である。
とりあえず今回の開幕前ドパンは予め気配を探知していた二人の内、しゃがんでいる片割れを狙ったわけだ。だが、もう一人の方ーー剣を持った女性だったーーが超反応を見せ、しゃがんでいた男を放った氷砲弾の狙いから離してしまった。おそらく、砲弾を打撃加速させたときの音が予想外に反響したのが原因だ。あの音でいち早くこちらの奇襲が発覚してしまったのだ。氷砲弾は色々な理由で回避されやすいな。
洞窟に突入してきたときからビンビンに感じていた召喚魔術式。それが置かれている広い空間に突入した瞬間、恐ろしいほどに膨大な量の魔力を二つも感じ取った。
(うん、無理ッ)
あわよくば最初の不意打ちで油断した所を一気に撃破しようと目論んでいたが甘かったと断言せざるを得ない。それほどに隔絶した実力差を一目見た瞬間に判断できた。虎の穴に間違って飛び込んでしまった子兎の心境である。そして俺はツノウサギほど無謀ではないぴょん。
と、言うわけで当初の予定通りに速攻で召喚魔術式を破壊した。普段は『剣』を使う氷山攻撃を斧に変更したのは、助走が付いた状態ならこちらの方が地面を穿ちやすいと思ったからだ。
(ーーーーッ、そろそろやばいか…………)
頭に走った痛みが己の限界が近いのを教えてくれた。
オーガとの戦闘から始まり、リザードマンの群やジェネラルゴブリンとの連戦。そこに加えて目の前の魔術式を破壊するときにかなりの精神力を消費した。奇襲の氷砲弾を使った後にすぐに、氷剣山波(今名前を決めた)を僅かな時間でイメージして発動したのだ。その反動がかなりキツい。後になって気が付いたが、開発したばかりで制御も慣れていない『アイスボード』の多用が予想以上の負担になっていたのも大きい。
軽い目眩を起こしたが気合いで立て直すと、突入したときよりも僅かばかりだが落ち着いてこの場にいる二人の人間を観察できた。
俺が狙った男は小柄で魔術士風のローブを着ている。おそらく野営地に設置された魔術式と、俺が今し方破壊したこの場にあった魔術式。感じられる魔力の気配から、どちらも根っこは彼が関係していそうだ。
そしてそれを氷砲弾の驚異から逃した女性。腕が二本に対して腰に帯びている剣は六本と疑問のつきない装備だ。最近の美女遭遇率の高さに漏れずに、ちょっとキツそうなイメージのある美女。スタイルはモデル体型だったが唯一、愛と夢と希望とロマンとその他諸々は詰まっていなかった。身長は高めなのに、『壁』具合は彩菜と同じだ。何より、触れれば微塵切りにされてしまいそうな鋭い空気を纏っているのでお近づきになりたくない。
何よりも『例の気配』を色濃く感じ取れた。間違いなく渓谷で戦った魔術士に連なる者達だ。
(冗談じゃねぇ)
渓谷での一戦は、不意打ちに幸運が重なって得られた辛勝。正面から戦えば百戦して百戦負ける自信がある。それと同等レベルが二人も相手などお話にもならない。
これが王道勇者物語なら黒幕らしき彼女たちに色々と問いただす場面だが、俺の役割はせいぜい主人公の友人AかBが限度。アイスボードに乗ると来た道を急いで戻る。
背中を彼女らに向けた瞬間、身を斬られるような『殺気』が襲いかかる。身が竦みそうになる程の重圧に、アイスボードに乗っていなければ逃げ足が鈍りそうだ。
振り返ることすら出来ない。恐怖の発生源はおそらく剣を六本携えていた美女だろう。殺気が物理現象を伴うなら、俺の背中は今頃串刺しになっていただろうと確信できた。
予定変更。これほどの苛烈な殺意を持つ相手だ。この場で逃げても地の果てまで追われそうだ。
ーーーーこの場で潰すしかない。
下手な出し惜しみは無しだ。後先を考えていればこの殺気が実体を持って俺を殺す。最低限、行動不能に追い込む必要がある。
現在地は洞窟の通路。ジェネラルゴブリンの巨体が五つほど横に並んで歩ける幅はあるが、残念なことに高さはそこまではない。超巨大大槌を作っても取り回しに困る。
アイスボードから飛び降りた俺は靴底を地面にこすりながら反転し、氷砲弾の準備に掛かる。出来るだけ打撃加速に無駄が出ないよう、足裏と地面を凍結で合体させた。砲弾そのものに込める精神力も『最大限』だ。
この感覚は覚えがある。渓谷で炎使いと戦ったときと同じだ。
四肢に力が漲り、心の奥底から魂の高ぶりが駆けめぐる。
槌を振りかぶった所で、六本剣の女性が通路に姿を現す。距離を離しながらも正面から相対する立ち位置。彼女の目を見た俺は驚く。
純度の高い殺意を宿し、憤怒を心に燃やしていながらも、瞳には色濃い『冷徹』が秘められていた。ただ怒りに駆られているのではない。いかに効率よく『敵を殺すか』を模索する理性があった。これほどまでに殺意と理性を併せ持った目を、俺は見たことがなかった。
氷砲弾の打撃加速の寸前で悟った俺は。
自然と笑みを浮かべていた。
俺を殺す気満々の目だ。
己の勝利を揺るがずに信じている目だ。
こちらの攻撃がどうあれ、余裕で対処できると、そんな目をしている。
確かに此方と彼方の実力差は歴然。
百戦を正面から戦えば百戦は負けるだろう。
だが、忘れてはいないだろうか。
いかに策謀を巡らせ、今回の戦い全体の裏を操っていようと。
この瞬間の戦いを最初から主導していたのは、この俺なのだ。
ここは『あんた』の独壇場ではない。
ーーーー俺の独壇場だ。
あの手の輩はどれほどの速度の攻撃であっても、初動さえ見極めれば回避してしまう。
威力と速度重視で氷砲弾を撃っても六本剣の女には避けられる。少なくとも知り合いの天才空手少女は拳銃を相手にそれを『やってのけた』。それを知っていた経験が、この攻撃を脊髄反射気味に選んでいた。
「避けてみな」
打撃加速の瞬間、俺は氷砲弾に込めていた『イメージ』を解放。発射された氷砲弾は、刹那の間を置くと『洞窟の通路を踏め尽くすほどに超巨大化』した。
半透明で加速する砲弾の向こう側で、殺意純度百パーセントの目をしていた女性の顔が、面白いほどに引き攣っていた。抱いているのは、怒りか驚きか、あるいは呆然か。
それを確かめる前に、彼女は超巨大氷砲弾の直撃を喰らい、魔術式が設置されていた広い空間まで吹き飛ばされる。
六剣の女性を飲み込んだ氷塊はそのまま壁に激突し、鉱山の全域を揺るがす轟音と衝撃が響きわたったのであった。