When I was dying of a high fever, I was given the skill of hatching by the goddess, and for some reason I became the strongest tamer who can subdue phantom beasts and divine beasts. - chapter (10)
第10話 セリア入学する
「もし、国家試験に落ちたら是非うちに来てくれ」
王都に到着し、護衛のリーダーと握手をする。
「あははは、どうなんですかね?」
トロル襲撃の後、何度もモンスターの討伐に参加させてもらったのだが、その後時間を見つけては指導をしてくれるようになった。
おそらく、社交辞令だとは思う。前線に立ち活躍をしたわけではない。あくまで指示通りに動きサポートをしただけなのだから……。
俺が首を傾げていると、
「ったく。その指示通りに動けない奴の方がほとんどだってのに……お前は本当にわかってるのか?」
護衛のリーダーは頬を掻くと苦笑いを浮かべた。
「兄さん、行きましょう」
次の馬車の時間が迫ってきているらしく、様子を見に行っていたセリアが戻ってきた。
「それじゃ、御世話になりました」
俺は護衛リーダーの人に改めて御礼を言うと、セリアが通う学校に着く馬車乗り場へと向かった。
王都の中心付近にある、セリアが通う学校へと向かう俺たち。二人馬車に揺られながら外の景色を楽しんだ。
学校までは王都の馬車乗り場から30分程で到着した。
校門の前の詰め所でセリアの名前と、保護者代理として自分の名前を告げると、ほどなく教員が現れ、俺たちに校舎内を案内してくれた。
ここは、王都でも優秀な人間しか在学することができない学校らしく、設備も充実していた。
これからセリアが魔導を学ぶ場として申し分ない。
「――以上が、学校の施設案内になります。問題がなければこちらの書類に生徒と保護者の方のサインをお願いします」
学校内の施設を案内してもらい、応接室で入学時に書かされる書類を見せられる。
校則や学業や行事、在学時に起こる危険事項などについて明記されている。
違反者の退学であったり、指示に従わない場合の怪我・命を失った場合の責任を負わないなど、至極まともなものなので問題ないと考える。
「セリア、大丈夫だよな?」
「ええ、兄さん。問題ありません」
彼女の意志を確認して書類にサインをすると、彼女も同じくペンを走らせた。
「おめでとうございます。これでセリアさんは現時点で当校の生徒となりました」
「ありがとうございます」
教員からそのように言われ、ホッと息を吐く。実際に入学できるまで不安でしかたなかったのだろう。
案内してくれた教員とその後、セリアは穏やかに会話を続けるのだった。
セリアを寮の前まで送り、立ち話をする。
この先は女性しか立ち入り不可となっているので、ここでお別れだ。
「兄さんは、この後、冒険者ギルドに行くのですよね?」
「ああ、一年という期限付きだからな」
冒険者ギルドの受付の女性に聞いたところ、国家冒険者の資格試験は年に四回。三ヶ月ごとにある。
全部で四回もあると考えがちだが、資格試験を受けるためには幾つかこなさなければならない依頼がある。
到着したばかりだからと気を緩めていては、絶対に達成できない目標なので、セリアのことも気がかりだが自分のことに専念することにする。
「そっちも、しっかりと学ぶんだぞ」
せっかくお互いに王都にいるのだから、励みにしながら頑張ろう。そんな思いを含め、セリアに伝えるのだが……。
「それは勿論ですけど、折角お互い王都にいるのですから、週に1回……いえ、月に1回はお会いしたいです」
セリアは寂しそうに、甘えるような仕草で手を伸ばしてくる。
里離れしても兄離れはまだのようだ。しっかりしている妹だが、王都という一人の場所が不安なのだろう。両親はそんなセリアの心の弱さを見抜き、一年だけ俺が王都に留まる口実を作ったのかもしれない。
「まあ……絶対ではないが、辛そうな時は呼んでくれ。駆けつけるから」
妹が都会の荒波に揉まれて擦り切れてしまわないように、俺は細心の注意を払うことにする。
「はい、約束。ですよ」
セリアはそう答えると、安心したような笑顔を俺に向けてきた。
セリアと別れたあと、俺は王都の街並みを歩いていた。
ここ王都ベラドーナは住む場所に番号を振り区画分けをしているのだが、セリアが通う学校から冒険者ギルドがある場所までは二つの区画を挟んでいる。
教えてくれた教師から「結構な距離があるので馬車乗り場まで案内しますよ」と親切な言葉をいただいたのだが、これから何度もこの学校まで来ることになるのだからと、街並みを見ながら行くことにした。
流石は王都ということもあり、道が整備されており、建物も隙間なく並んでいる。
色んな店があり、細い路地を通った先には別な大通りがあるのだが、そちらも人で溢れている。
地方から出てきた俺は、その凄さに圧倒されていた。
「あれ? どっちだ?」
しばらくして、自分が方向を見失っていることに気付く。
気になる店を覗き、細い路地を覗いている間に夢中になってしまい、自分がどちらから来たのかわからなくなってしまった。
王都の建物はどれも同じように見え、同じ商品を取り扱っている店がところどころにあるので目印にならない。
どうにか冒険者ギルドのある方角だけでもわからないかと焦りを浮かべていると……。
「ねぇ」
振り返ると獣人の女の子が立っていた。セリアよりも少し背が低く見上げるように俺を見ている。
「何か困っているの?」
クリっとした瞳を俺に向け話し掛けてくる。
「えっと……冒険者ギルドの場所、わかる?」
俺は、一時の恥を掻く覚悟を決めると彼女に質問をした。