When I was dying of a high fever, I was given the skill of hatching by the goddess, and for some reason I became the strongest tamer who can subdue phantom beasts and divine beasts. - chapter (63)
第63話 空中散歩
目の前には素晴らしい景色が広がっており、俺は風を一心に受けている。
上を見るとフェニが翼を羽ばたかせて優雅に空を飛んでいるのだが、足には紐を括りつけており、俺はその間の布にくるまって運ばれている。
以前【ガルコニア鉱山】で【スカーレットダイヤの原石】を運ぶのに使ったものなのだが、今回はこのように使用してみた。
『ピィピィ』
俺が見ているとフェニと目が合い何やら鳴き声を上げた。孵化してから8カ月が経ち、大分身体も大きくなってきたので、今では俺一人くらいなら運んで飛ぶことができるようになった。
そんなフェニの成長を嬉しく思いながら横を見ると、パープルが飛んでいる。
糸を垂らしておりその下にはロックがぶら下がっているのだが、普段獲物を引っ張って落とすのに近い形なので、何とも微妙な運び方となっている。
『…………♪』
『…………(震)』
ロックは怯えている様子なのだが、パープルには以前俺も運んでもらったことがあるが、結構な力持ちなのでロックくらいの重さならばまったく問題はないだろう。
そんなことを考えていると、周囲の景色が変わり山脈が見えてきた。
「フェニ、そろそろ下ろしてくれ」
周囲を高い岩の壁に囲まれたあたりで俺はフェニに指示を出す。
『ピィ』
フェニは返事をするとその場で旋回をして高度を下げ始めた。
視界がぐるぐると周り、徐々に地面が近付いてくる。
俺はタイミングを見計らうと、転ぶことなく地に足を付けた。
「フェニたちのお蔭で随分楽にここまで来ることができたな」
ここは王都から北西に向かった先にある山脈で、レアな鉱石が採れる採掘場だ。
ドワーフ秘蔵の場所なのだが、ゴッズさんとの取引により教えてもらった。
もっとも、ゴッズさん曰く「確かにたまにどえらいレア鉱石も出てくるが、採掘できるかは完全に運だ。ドワーフが力任せに色々掘り進めても中々手に入らないくらいだからな」と言っていた。
確かに、山脈全体が広いので適当に採掘してては駄目だろう。
『…………(悦)』
パープルから解放され、地面に降りたロックが嬉しそうに走り回っている。どうやら、余程空を飛ぶのが怖かったらしい。
しばらくの間見ていると、
『…………(探)』
ロックはキョロキョロと周囲を見回すと、ある一点を指差した。
「ここを掘ればいいのか?」
俺が確認すると、ロックは激しく首を縦に振り頷く。
岩肌が硬いので、ロックでは掘れないので懇願してきた。
俺はピックを取り出すと、採掘を始めた。
『…………(喜)』
今回、こうしてドワーフ秘蔵の採掘場まで来たのは、ロックに関係がある。
レインボーバタフライの鱗粉を吸収する回数を減らすには、他のレア鉱石を用意してやるのが一番だ。
鱗粉の供給量を増やす代わりに他のレア鉱石を得るためにゴッズさんと情報の取引を行ったのだ。
ロックと従魔契約をした際、俺は【鉱石感知(小)】というスキルを得ている。これは鉱石のある場所がおぼろげにわかるスキルだ。
基本的に従魔から得たスキルの効果は従魔が持つスキルよりも劣っている。
ロックは金属のこすれ合う音にも反応したり、鉱石がある場所を把握している様子があったので、採掘場に連れていけば勝手にレア鉱石を見つけてくれるのではないかと推測した。
岩肌を崩し、結構深く掘り進めて行くと、段々とロックの動きが激しくなる。
後少しと応援しているようで両手を広げてはしゃいでいる。余程の物が埋まっているのではないかとついつい期待してしまいそうになる。
――ガキンッ――
「おっ! これは!」
鍛冶師ギルドで買った硬質の鉱石も砕けるピックが音を立てて弾かれた。
俺は慎重にその周囲を崩して塊を掘り出した。
「ふぅ、結構大きな塊だが、これは何かな?」
金とは違うが近い色合いの金属が岩肌から姿を覗かせている。
『…………(悦)』
ロックは鉱石に抱き着いて頬ずりをしており、とても幸せそうに見えた。
俺はカード型魔導具を取り出し、採掘した物が何なのか確認する。
『Sランクアイテム【オリハルコン鉱石】を収集しました』