When I was dying of a high fever, I was given the skill of hatching by the goddess, and for some reason I became the strongest tamer who can subdue phantom beasts and divine beasts. - chapter (64)
第64話 グリフォン
『…………(恍惚)』
オリハルコン鉱石に身体を寄せ小刻みに震えているロック。
『ピィーイ?』
『…………¥』
ロックがあまりにも嬉しそうに抱き着いているので興味を持ったフェニとパープル。
「まさか、いきなりこんなの掘り当てるとはな……」
オリハルコンと言えば超希少金属として有名で、狙って手に入れることは絶対に出来ない金属だ。
鉱脈に関係なく突如出現するので、世界中の様々な場所で採掘情報が出るのだが、ガセ情報も多い。
何せ、オリハルコンが採掘された場所には人が殺到するので、開拓初めの鉱山などに人を集めるために嘘をつく業者が存在しているからだ。
当然今回の件を報告するとこの地に人が殺到するのだが、ドワーフ秘蔵の場所だしそれはよくないだろう。
「まあ、しばらくは屋敷の奥に隠しておくことにするか……」
ロックも喜んでいるので引き離すのは可哀想だ。現状、物凄くお金に困っているわけではないので、無理して売る必要はなかったりする。
「それにしても……」
これがまぐれではないとすると、ロックが持つ【鉱石感知】も凄まじいスキルだ。
ロックが指差した先を掘っていけば希少鉱石を掘り当てることができるので、効率よく採掘ができる。鉱山で重宝される能力だろう。
「誘拐されないように気を付けないとな……」
フェニやパープルとは違って、ロックは臆病なところがある。
身体も小さく、父親やセリアでも持ち上げられるくらいなので、悪用を考える人間の目に止まれば抵抗もせず連れ去られてしまうだろう。
現在、ロックの詳細についてはテイマーギルドではレブラントさんと係員さんしか知らず、身内でもセリアが知っているだけだ。
今回の実験で確証を得るまで【鉱石感知】については誰にも言っていないので、俺が黙っておけば済むだろう。
「とりあえず、成果は十分だしこれだけ持って帰るとするかな?」
そんなことを考えていると、視界が急に暗くなった。
『ヂヂヂヂヂヂヂヂヂ』
『…………###』
『…………(恐慌)』
俺たちの上空を優雅に飛ぶのは、獣の身体と翼をもつ鋭いクチバシと目付きをした――
「Aランクモンスター【グリフォン】」
『グルルルルル』
金色の瞳で睨みを利かせたグリフォンは上空を旋回しつつも俺たちから視線を外すことはない。
この場でもっとも身体が大きいことから己の優位を確信している様子で、こちらの反応を窺っている。
低ランクモンスターと高ランクモンスターは何が違うのかという話がよく、冒険者ギルドやテイマーギルド、他にもモンスターと関わる人間の間で話題に上がるが、一番は知能だとされている。
高ランクモンスター程頭がよく、地形を理解して優位な位置から戦いを仕掛けてくるので倒すのが厄介なのだ。
『ヂヂヂヂ……――』
「フェニ、動くんじゃない!」
翼を広げ戦おうとするフェニを止める。
『…………!』
「パープルも止めろ!」
二匹を止めると俺は全身から汗が流れる。
このようなことはこれまでモンスターと対峙してきて初めてかもしれない。
二匹の動きをとめたところで、いよいよこちらに打つ手がないと思ったのかグリフォンの動きに変化があった。
フェニとパープルではなく、翼を持たない俺にターゲットを定めてきたようだ。
これまでの優雅な動きとは違い、翼をたたみ滑空を速度に変えて突撃してきた。
『ピピィ!?』
『…………!?』
『…………(怖)』
三匹からおそれの感情が伝わってくる。
グリフォンの肉体の質量から考えるとまともに受けたら吹き飛ばされてしまうことになるだろう。
俺は太陽剣を抜くと、
「はっ!」
グリフォンの突進を避けつつ翼を斬った。
『ギャオオオオオオオオオオ!!!!』
バランスを崩したグリフォンはそのまま岩に激突する。
「良かった、フェニやパープルだと相性が悪かったからな」
フェニやパープルもグリフォンと一対一で戦っても勝てると思うのだが、どちらも一撃で致命傷を与えることができないので逃げられてしまう可能性がある。
高ランクモンスターの素材があまり出回らないのは、不利になったら逃げるという点も大きい。
『グルルルルルル』
翼を斬られ、勢いよく岩に身体を叩きつけたのにまだ動けるようだ。
グリフォンは鋭い目つきで俺を見ていた。
自分の不利を自覚しつつも、最後まで敵意を切らすことがない様子に、
「悪く思うなよ」
俺は地面を蹴り、グリフォンとの距離を一気に詰めると太陽剣を振り命を絶つのだった。