Will I End Up As a Hero or a Demon King RAW novel - Chapter (260)
257話 マンホール
『レベルが58に上昇しました』
あれから二日後。
黙々と象を狙いながらAランク魔物を狩りまくっていたら、ようやく俺のレベルが1つ上がった。
名前:ロキ(間宮 悠人) <営業マン>
レベル:58 スキルポイント残:58
魔力量:652/652(+4800) 剣の魔力上昇でさらに+50
筋力: 349 (+1629)
知力: 355(+885)
防御力: 343 (+765) ヴァラカン(+687)
魔法防御力:333(+1088)
敏捷: 348(+750) キュウキ(+174)
技術: 342(+1205)
幸運: 343 (+400)
加護:無し
称号:《王蟻を討てし者》
【飛行】Lv7 → Lv8
【絶鳴】新規 → Lv7
【爪術】Lv5 → Lv7
【氷魔法】Lv5 → Lv6
【雷属性耐性】新規 → Lv5
【氷属性耐性】新規 → Lv5
【氷結息】新規 → Lv6
【不動】新規 → Lv5
【夜目】Lv5 → Lv7
【石眼】新規 → Lv7
【石化耐性】新規 → Lv6
【威圧】Lv5 → Lv7
【物理攻撃力上昇】新規 → Lv5
【旋風】Lv5 → Lv6
【咆哮】Lv4 → Lv6
【光合成】Lv4 → Lv6
スキルのレベル上げもまずまずといったところだな。
ステータス画面を確認し、スキルポイントが結構増えたことに一人ウンウン頷きながら拠点に帰還。
収納していた魔物を全部カルラへ託してから上台地に向かえば、なぜか頭を抱えているアリシアと地面で粘土っぽい何かを捏ねているフェリン。
それに遠くでお風呂に腰かけ、空を眺めているフィーリルの3人がいた。
「あ、あら? アリシアはどうしちゃったの……?」
「猫がちっとも懐いてくれないだってさー! フィーリルのとこばっかり行っちゃうみたいだよ?」
「うぅ……ロキ君……! 私の何がいけないのでしょうか!? なぜですかっ!?」
「えぇ、構い過ぎてるとかじゃなくて? もしくは匂いとか?」
「―――ッ!!?」
うぉぉ……
額に矢がぶっ刺さったような顔をして慄くアリシア。
でも猫は今現在フェリンの足元でスリスリしているのだから、面倒臭がられている可能性が高いような気もする。
まぁたぶん、餌付けしていればまずそのうち『餌くれる人認定』されて改善されるだろう。
どうしてもということなら、まだ取得もしていないけどスキルツリーには表示されているスキル。
【調教】とかいうのを使ってしまえばいい。
すんごい邪道な気もするけどね。
それにしても、フェリンはいったい何を?
そう思って聞けば、先日の勉強会でダンジョンから鉱物が入手できるとあって、リルは自分で装備を作ってみたいとボヤいているらしい。
で、俺が種を入手するまで暇なフェリンが竈を作ろうとしているんだとか。
茶色い土をコネコネしているということは、レンガでも作ろうとしているのかな?
前に王都で一緒にピザを食べた時、竈が~って話をしていたので、どっかから記憶と知識を学んできたのかもしれない。
「ロキ君~あのお風呂は素晴らしいですよ~! 最高です~!」
「あ、やっぱり? 風呂職人としてのこだわりが溢れちゃいまして。あの大きさなら6人全員で入っても大丈夫じゃないかな! でもご要望のあの位置は下から見える可能性があるから気を付けてね?」
決して見ませんとは言わない。
うん、死んでも言わない。
でも一応忠告はしておかないと、後で大きな問題になる可能性があるからね。
湖はかなり大きく、俺達が家を建てている湖畔からいくら目を凝らそうと、普通じゃ絶対見えることはないだろう。
でも飛んだり転移したりと、何事にも裏技ってもんはある。
カルラはゼオ大好き病にかかってるから気にしなくて良さそうだけど、あのちょい悪オヤジはもしかしたらがあるかもしれん。
「ふふふ。覗いた者は死を迎えると伝えておいてくださいね?」
「……………………もちろんです」
よーし。
ゼオからあの高性能魔道具借りて、絶対覗けないよう風呂場に埋め込むことも検討しようかな。
「あ、3人いるなら丁度いいや。今からパルメラの中心部を見学しにいってみるよ」
「大丈夫ですか? もっと強い魔物がいるかもしれないんですよ?」
「行って何かあるんでしょうかねぇ~」
「危なそうなら私ついてこっか?」
「はは……大丈夫大丈夫。マッピングしながら周囲を埋めるように進行する予定だから、たぶん今日中には終わらないだろうしさ。みんなはそれぞれやりたいこと楽しんでて!」
「むぅ」
唇を尖らせ、あからさまに不満そうな顔をするフェリン。
その表情に、重大な何かを伏せているような後ろめたさはまったく感じられない。
一番顔に出やすいフェリンでこれだし、少なくとも女神様達が関与しているようなことは中心部にないわなぁ……
まぁ、それでも地図を埋めには行きますが。
一応緊急の事態になった時だけ【神通】を使うと言っておいたので、突発的な何かが起きてもきっと大丈夫だろう。
そう思いながら旅立って初日、二日目と。
何も変わらない景色のせいで期待は徐々に落胆へと変わり、フィーリルの予想が事実であったことを薄々感づき始める。
ポッカリ空いたドーナツ状の中心部分を回りながら埋めているので、少しずつ魔物の構成は狭まってきていた。
だがしかし、Sランクを想定していた第七層に切り替わることもなく、そして中心部を眺めても視界に際立つモノが映ることは一切無い。
ここはファンタジーだと。
フェルザ様が公言するほどの世界に存在する広大な森。
その中心部となれば、100人いたら95人くらいは例の木を想像するだろう。
そう、天高く聳える『世界樹』だ。
少なくとも俺は、天を貫くほどの巨木が生えているだろうと予想していた。
そしてその周囲には屈強なSランク魔物がわんさかいて、掻い潜って辿り着けば、うっひょーってヨダレが出そうなほどのお宝が!
そんな俺の妄想は打ち砕かれ――
「……いやいや、なぜ、マンホール?」
――まずここら辺が中心部だろうという、魔物構成が混ざるポイントを上空から見下ろせば、眼下にポツンと存在するのは黒い円盤のようなもの。
やや土は被っているが、その上に木が生えたりすることはなく、ある程度の形状はしっかり把握することができる。
というか、警戒してかなりの高さから見下ろしていたので分からなかったが、慎重に下降すればその大きさはマンホールどころではなかった。
――【気配察知】――
――【魔力感知】――
――【探査】――『魔物』――
魔物や危険な存在を確認しながらかなり近づくも、一切何もない。
半径10メートルくらいはありそうな、目立つ模様もない黒い円盤。
近くに降り立てば、その外周部には均等に6ヵ所の小さな穴が空いており、それぞれの穴を細い線が繋ぐように外周をグルリと一周していることが確認できる。
そして中央には土で埋もれている一回り大きな窪みっぽいモノがあり、そこから周囲の穴に向かって6本の線が伸びていた。
見方によってはその線に合わせてマンホールが開き、下へ落ちてしまいそうな印象を受けるも、線は彫られているだけで下部までは貫通していない。
……そこら辺にあった石や枝をヒョイヒョイとその円盤の上に投げるも、何も反応無し。
『指電』
軽く魔法を撃ってみるも、土が少し退けたくらいで変化無し。
『深く、穴を開けろ』
円盤の下を抉るように地中の土を退けてみるも、円盤の下には何かがあるわけでもなかった。
マンホールのように『蓋』の役目を果たしているのかと思ったが、この黒い物体はどう見ても下に延びている様子がない。
本当にただ、そこにポンと置かれているだけの存在。
(……なんだよ、コレ)
恐る恐る触れるも――、うん、何もない。
厚さ10cmほどの重厚な金属の塊。
ただ光をあまり反射していないというか、普通に見かける黒よりもさらに黒が深く見える。
「フン……ッ!」
駄目。
筋力には自信があったのに、全力で持ち上げようとしてもビクリともしない。
ならば、これはどうだ?
『収納』
――すると、これはあっさり成功できてしまい、そのことに焦ってすぐ元の場所へと円盤を戻す。
いやいや、何をやっているんだ俺は。
興味本位であれこれ調べていたけど、こんな魔物の生息域が交差する『ヘソ』のような中心地にある円盤が普通なわけないだろう。
何か目的があって設置されているとしか思えず、そんなモノを勝手に退けようものなら何が起こるか分かったもんじゃない。
しかも俺じゃビクともしないし、普通じゃ辿り着けないような場所にあるわけだから人の仕業とも思えないのだ。
となれば、しょうがない。
極力頼らないようにと決めてはいるが、これはどう考えても普通じゃなさ過ぎる案件。
逆にここで頼らなきゃいつ頼るんだって話である。
――【神通】――
「あ、アリシア。ちょっと俺の横に飛んできてもらえない? 謎のマンホールが森の中心にある」
「あの、まったく意味が分からないんですが?」